日本税理士会連合会会長賞(平成24年度)

平成24年度は、7,328校から584,661編の応募があり、以下の12名が日本税理士会連合会会長賞に選ばれました。(順不同・敬称略)

税と責任と信頼関係

和田欣大(東京・江戸川区立葛西第三中学校)

僕は転勤族だ。今まで福岡、新潟、そして小学三年生の時、東京に引っ越してきた。江戸川区に住んでからいつも母が言っている。「子供の医療費が無料で驚く。」と。福岡や新潟で、まだ小さかった僕は、よく風邪をひき、何度も病院に行ったそうだ。その当時、母は医療費を当然支払い、受診していた。現在、江戸川区では、税金の約二割を子育て支援等に充て、支援策の一つとして「子ども医療費助成制度」がある。これは、中三までの子供が医療機関に子ども医療証を提示することにより、保険診療の自己負担分を支払わずに受診できる制度だ。この制度の目的は、未来を担う子供達が健やかに育つよう、また子育て世代への経済的負担の軽減を図ることである。

納税は国民の義務である。そして国民の納める税金は、国や地方自治体が行う様々な制度の財源となる。大切なのは税金の使い方だ。国民が義務を守り、納めた貴い税金を、国や自治体がどう大切に使うかである。江戸川区の母親達は、この制度のおかげで

助かっているだろう。経済的にはもちろん、精神的にも安心して子育てができるのではないだろうか。この制度は、税金を納める区民と、税金を預かり、運用する区との信頼関係の上に成り立っている制度だと思う。

僕達国民は、しっかりと納税し、約束を守る。国はこの任された税を、大切に正しく使う。この信頼関係を僕は信じている。社会、そこで暮らす人々の為に有意義に使ってほしい。共に生きる皆の為、皆が喜び、豊かになるよう使ってほしい。もし、国と国民の信頼関係が崩れればどうなるだろう。社会が成り立たない。人々は共に暮らせない。国は崩壊してしまうだろう。

東京都では細かい条件は違うが、子供の医療費助成制度がある区は十三区ある。その中の一つ、江戸川区は、とても過ごしやすく明るい区だと僕は感じている。ここでは、いつも小さな子供達の笑い声が聞こえる。聞いている僕も楽しくなる。僕は、江戸川区がずっと、子供達が元気にのびのびと暮らせる区であってほしい。その為にも、納税する区民も、その税金を運用する区も、各々が果たすべき責任を全うする必要があると思う。

今、日本は、税の無駄使い等、税に関する様々な問題を抱えている。解決する為に、この国に住む僕達は何ができるだろう。何の為に税があるのか、税とは何なのか、税をどう生かすべきか。各々の立場でお互いを思いやり、想像力を働かせてみてはどうだろう。皆が自分自身に問いかけ、自分なりに答えを出し、税と向き合うことが大切だと思う。

僕は、社会で皆と共に生活する為の「会費」である税に、正しく関わっていこうと思う。そして皆が気持ち良く、生活できる社会に協力したい。僕達の国、日本が明るい笑顔が溢れる、豊かな国になることを願って。

「明日」を守る納税

向井修吾(埼玉・深谷市立上柴中学校)

「修吾。お菓子のおばちゃんがけがをしたらしいの。お見舞に一緒に行ってね。」

お母さんから頼まれてこのお見舞に行ったことで僕は初めて介護保険という制度や税金のありがたさを知ることになりました。

お菓子のおばちゃんというのは八十才でお母さんのおばさんで、八十二才のだんなさんと二人暮らしをしています。小さい頃から僕が遊びに行くと、いつもお菓子をたくさんくれるので、お菓子のおばちゃんと呼んでいました。おばさんのけがは左腕の骨折でした。もともと糖尿病や足腰が悪くなっていたおばさんは、夜中にトイレにお起た時にベッドから落ちて動けなくなってしまい、救急車で病院に運ばれたということでした。すでに退院したので、お見舞はおばさんの家に行きました。

お見舞に行った僕は、ちょっとびっくりしました。いつもはおばさんとおじさんの二人なのに、その日は知らない人がエプロンをして家の事をしていたからです。僕はけがをして不自由なおばさんが家政婦さんを頼んだのかなぁと思いました。でも家政婦さんでなくヘルパーさんでした。家のことができないので介護支援の人に相談をしたら、市役所の人や介護施設の人が来て、今のおばさんの病状を調査して「要支援」という介護になり、ヘルパーさんが一日二時間と決まり、家事をしてもらっていることを知りました。また、食事は宅配のお弁当が届くそうです。僕は話を聞いて良かったなぁと安心しました。でも、かなり高いお金なのだろうと思いました。後でおばさんがお母さんに介護保険のおかげでお金は安いことを話しているのを聞いて、介護保険って何だろうと思いながらもおばさんが元気そうで良かったと帰りました。

僕はおばさんのけがをきっかけに介護保険について、お母さんやお父さんに聞いてみました。介護保険とは平成十二年に施行された高齢者や核家族化に対応して要介護者を社会全体で支える仕組みだということがわかりました。財源は個人が納付する保険料と、国、都道府県、市町村による負担もあり、やはり税金が使われているということでした。いろいろ課題も多いらしいのですが、おばさんのように、この制度で助かっている人を知ると税金の使われ方がわかりやすく、困っている時に役立っていると感じました。

国会で、消費税の値上げが成立しました。値上げすれば僕も買物をした時は必ず負担を感じることでしょう。でも病気になったり年老いた人が安心して暮らせる社会のためには、国の財源を確保する税金は必要です。国が豊かであれば人に優しくおだやかな社会になると思います。納税は負担かもしれないけれど、明日を守る貯金と考えれば安心した明日につながります。明日を守るために僕も納税の義務を果たそうと思います。

税は社会のバックアップシステム

松岡菜那子(兵庫・神戸市立太山寺中学校)

先日、東日本大震災の復興状況がテレビで映し出されていた。着実に復興が進み、通常の市民生活が戻りつつあるようだが、全く手つかずで震災当時のままの地域も多くあるらしい。日本の観測史上最大の地震による被害から、地域の力だけで元の街並みや生活を取り戻すのは難しいことだ。テレビに映る被災地を見ながら、私が住む神戸のことを思った。

平成七年の阪神・淡路大震災で、神戸も壊滅的な打撃を受けた。ビルや高速道路が倒壊し、地震直後の火災で焼け野原になった。それが、今は空港が新たに開港し医療産業都市として発展している。私は震災を直接体験していないが、わずか十数年でよくここまで復興できたものだと思う。

震災後、街の復興への取り組みが行われたが、それには大きなお金が投入された。私はそのお金をどうやって確保したのか調べてみた。当時、国や地方では震災復興関連として大きな予算が組まれたが、そのもとは全国のみなさんが納めた税金だった。本当は、被災地に駆けつけて手助けをしたいと思っても、仕事や学校等でできない多くの人たちが、税金を納めることで被災地の復興に大きく貢献してくれたのだ。つまり震災等の非常事態には、私たちが納めている税金が私たち自身の生活をバックアップするシステムになっていることがわかり、とても心強く思えた。

最近、消費税について、景気が悪いのに増税がよいのかという意見もなかには出されている。買い物をするときに、「消費税が増えたらどうなるのだろう。」と不安に思えることもある。消費税増税は、私たちの家計に影響するかもしれない。でも、増税という形で私たちが今少しだけ我慢すれば、日本の将来にきっと役立っていくのだ。現在の繁栄を次の世代へつなぐことが私たちの課題だが、税金がその解決に役割を果たすだろう。つまり、私たちが納める税金が、将来の世代の生活を守るバックアップシステムと考えることができるのだ。確かに今は不景気だから多くの人が生活は厳しいと感じており、増税に対していろいろな意見がある。だから、人びとの所得の差も考えながら、だれもが公平感を持てる税の負担方法や生活の苦しい人たちへの給付方法についても検討が必要だと思う。

全国のみなさんが納めた税金が大きな力となって復興できた神戸の街を思うと、東北をはじめ全国の災害被災地の復興に私たちの納める税金が役立ってほしいと願う。さらに、日本の将来を担う次世代に夢を持てる社会を引き継いでいくには、税が世代を超えたバックアップシステムの役割を果たしてくれることを認識したうえで、今を生きる私たちが正しく納税を行うことがとても大切なことだと思う。

税について

後藤菜奈(北海道・札幌市立あやめ野中学校)

私は家で税金について調べてみました。すると、未納税者という人がいることが分かりました。ある未納税者は「他にも払っていない人がいるのだから、自分だって払わなくていいではないか。」と主張しました。確かに未納税者は一人ではないと思います。しかし私は、その人たちも税金によって管理されているものに、どこかで必ず助けられていると思います。本人は助けられる生活が当たり前だと思ってしまっているから、気づいていないだけだと思います。そのことにちゃんと気づいている人が増えるだけで未納税者は減ると思います。

私はまだ働くことができないし、お金を稼いで納めるということがどれだけ大変なのかよく分かっていません。今のように安心安全で、便利に暮らすことが出来ているなか、その裏でどれだけの人ががんばってくれていることか、考えただけで今の私達は本当に恵まれているんだなと幸せに感じます。

そもそも税金があるおかげで暮らしやすく安全な日本が今あると思います。税金がなければ道は古いままであったり、ゴミは放置されたまま…。公共サービスや公共施設だって税金。病院に行った薬の値段だって税金で負担してくれています。今まで税金について深く考えたことは、正直言ってあんまりなかったです。いつ、どこでどのように使われているのかなんて思ったこともなかったと思います。しかし、普通に使っていた教科書だって税金。私は税金のおかげで生きていけてる、そう言っても過言ではないと思います。

何億、何兆というお金は、中学生の私には多すぎてはっきりまだ想像することができません。でも、日本に住んでいる人みんなで少しずつでもお金を出せれば、それはとても大きな額になると思います。その分、生活もしやすくなり喜びも増えると思います。

一生懸命に働き税金を納める方々と、一生懸命に使い道を考える方々がいるからこそ、様々なところで税金に支えられることが出来るんだと思います。だから私は毎日を全力で楽しみつつ、今の豊かな生活に感謝をしたいと思います。

しっかり働いて沢山の税を払えるということは、日本の豊かさやこれからの発展を支えていけるという点で、とても名誉なことだと私は思います。上の世代の方々によって支えられてきたものに感謝をし、今度は次世代をしっかり支えていけるような責任感のある社会人になりたいと思います。そして今は支えてもらうことしか出来ませんが、大人になったら一生懸命働いて、そしていただいたお給料から、さらに素敵な社会になることを願って社会人である誇りを持ってきちんと税金を納めていきたいです。

納税は私たちの誇り

平山あかり(宮城・多賀城市立東豊中学校)

なぜ、私たちは納める税額に違いがあっても公平な公共のサービスを受けることができるのだろうか。

私の父は、会社から給与収入を得ている。祖父は、不動産収入を得て生計を立てている。祖父の所得税の納税額は、父よりも多い。しかし、私たち家族は、祖父と同じ公共のサービスを受けている。

私たちの暮らしに欠かせない公共のサービスには費用が掛かる。その費用を負担するのが税金である。税金を納めることは、国民が果たすべき基本的な義務の一つだ。その税金により、私たちは、消防や警察、学校教育、福祉などの様々なサービスを受け、安全で健康的な生活が保障されている。

私の暮らす地域は、東日本大震災での津波により大規模な被害に遭った。道路は漂流物で埋まり、通行することもできず、生活に欠かせない上下水道が使えず、不便な暮らしを経験した。蛇口をひねれば水が出る。トイレを使用した後に水を流す。日常の当たり前のことができない。私は数日間、避難所で過ごしたが、水を流せないトイレが劣悪な衛生環境であったことは、一生忘れないだろう。そのことで上下水道の整備の大切さを十分に理解した。生活のための復旧は、すぐに行われた。現在では、公共事業などにより復興が進み、環境整備の整った快適な暮らしをしている。震災の復旧、復興も国民の納める税金によって支えられているのだ。だから、父や祖父の納めた税金も有効的に使われている。

ある一定の所得がある人は、所得金額に応じて所得税を納めなくてはならない。しかし、様々な事情から収入がなく、税金を納めることのできない人もいる。そのため、所得や資産などが多い人には多めに税を負担してもらっている。所得の低い人には、税負担を軽くしている。しかし、税負担を拒み、不正手段で納税義務を免れようとする人も存在するのは確かだ。富に格差が生じても、お互いを支えあう税負担のシステムのおかげで私たちは公共のサービスを公平に受けることができるのだ。消費税の増税についても私は賛成する。なぜなら、増税により、社会保障が厚くなることは、私たちの将来にとても有利なことだからだ。富を求め、個人の活動だけを優先しているようでは、社会の安定は望めない。納税意識の向上は、私たちの国の発展にもつながることだ。そのためには、学校の授業の中でも税金の役割を学ぶ時間を多く設けることが必要だと思う。そうすることによって、社会人になるころには、しっかりとした納税意識が身についているのではないだろうか。

私も将来、父や祖父のように、しっかりと納税し、国民として社会のために貢献し、納税できることを誇りに思えるような立派な大人になりたい。

安心した社会をつくるために

大谷真未(愛知・大治町立大治中学校)

「日本に生まれてよかった。」と心から思ったことがある。誰から聞いたのかも忘れてしまうほど前のことだが、こんな話をしてくれた人がいた。日本ではどんな人でも助けてくれる。裕富でも貧乏でも、知らない人だって道端で倒れていたら身元が分からなくても救急車に乗せてくれる。ところがすべての国がそういう訳にはいかない。まず、払えるお金があるのかを尋ねられるのだという。お金がなければ病院でみてもらえない。薬局へ行くように言われるそうだ。こういった内容の話だった。この話を聞いたとき私は幼いながら、衝撃を受けた。日本では病院でみてもらえるのが当たり前だからだ。ではこの当たり前の光景をつくり出しているのは何だろう。

それは日本の社会システムだ。生活保護法のように、日本には貧しい人や働けない人が最低限度の生活を送れるようなシステムがある。これを実行するにはお金が必要だ。そのお金というのが国民の納める税金である。

しかし税金を納める者は公平でないように思う。生活保護法には払う人と払われる人がいる。またNHKはコマーシャルが一切ないが、それは番組をつくるためのスポンサーがいないということだ。NHKもまた税金でまかなわれている。だが、NHKの番組をよく見る人もいれば、全然見ない人もいる。これらのことから分かるように払った分だけ利益がある人もいればいない人もいることが分かる。

不公平だからといって私は税金制度を止めてほしい、あるいは軽くしてほしいと言っているのではない。それよりも日本がこれだけ安心な国であるのは税金のおかげだと思い、税金制度に賛成である。

人間は一人として完ぺきな人はいない。いつ病気になるかも分からないし、いつ挫折するかもわからない。もし自分が誰かの援助を必要とするとき、助けてもらえたらとても嬉しい。日本では税金によってそれを行っているのだ。

「情けは人のためならず」ということわざがある。情けをかけると必ず自分のところに返ってくるという意味だ。

こんな体験があった。友達と名古屋に遊びに行くために、バスに乗ったときだった。つえをついたおばあさんが乗ってきた。私はそのとき「どうぞ。」と席を譲った。なかなか勇気があったなと思う。そのおばあさんはとても喜んで名古屋に行くまでたくさん話した。すごく楽しかった。私のほうが元気をもらった気がした。

こういった体験のように税金はいつか自分に返る、思いやりとして大切にしたい。そして税金のお陰で私たちの生活は楽になっているということを忘れず、税金を支払っている人に対して感謝していきたい。日本に生まれてよかったと思えることだけで、税金は十分な役割を果たしているのかもしれない。

幸せと安心を支える税金

赤尾知世(富山・射水市立大門中学校)

「おじさんの会社が、道路補修の新しいやり方を試してみたんだって。成功したら安く道路補修ができるから、公共事業費が減って税金の節約になるよね。」

ある朝、母が嬉しそうに新聞を見せました。そこには、親せきのおじさんが経営する会社が、低コスト新工法で道路補修を試験的に行ったという記事が載っていました。

「社員の生活を背負っとるから頑張らんなん。」と言っていたおじさんの顔が思いうかび、社会の役に立っていてえらいなと思いました。また、『税金の節約になる』という母の言葉から、租税教室のことを思い出しました。

租税教室では、まず「税」を一言で言っても、多くの種類があることを教わりました。私が知っていたのは、小遣いで買い物をしたときにかかる消費税ぐらいでした。しかし、所得税や贈与税の他に、父が好きなお酒やたばこにかかる酒税やたばこ税、温泉に入るときには入湯税……と、本当にたくさんの種類があることを知ってびっくりしました。

「会社は法人税を納めているんだよ。」

と、以前おじさんが言っていました。それは、一万円が高額に感じられる私にとって、ケタはずれの額だったように覚えています。

そしてこれらの税金によって、道路の建設や補修を行ったり、上下水道を整備したりすることを知りました。学校で授業を受けられるのも、救急車や消防車を呼べるのも、ゴミを収集してもらえるのも、すべて税金のおかげ。税金を払うことによって、私たちは互いに生活を支え合っているのだと思いました。

また、租税教室で私が一番驚いたのは、国が借金をしていて、その借金が年々増加しているということです。歳入と歳出の円グラフを見せてもらうと、税金で足りない分を「公債金」という国の借金で補っていることが分かりました。借金が増え続けたら、日本はどうなるのだろうと思い、母に聞いてみました。

すると母は、住民税、自動車税、固定資産税等の納税通知書の他に、国民健康保険料や国民年金保険料といった、社会保険と呼ばれる納付書も見せてくれました。

「日本は少子高齢化が急速に進んでいて、年金や医療や介護の費用は増えているのに、その費用の担い手である働き手が減っているから、公債が増える一方なんだよ。わが家の三人の子供たちも社会に出たら、きちんと税金や社会保険料が払える大人になってほしいな。」と、母がにっこり笑いました。

私は、みんなが幸せに安心して暮らせる社会のために、税金をきちんと払おうと思います。そして国の政治に関心を持ち、どのように税金が使われるべきかを国民一人一人が考え、大切に使っていく必要があると思います。

税についての学習を続けたい

宮本彩佳(広島・近畿大学附属福山中学校)

二〇一二年八月十日夕方の参院本会議で消費増税法が成立した。十八年ぶりに消費税率が引き上げられるそうだ。何と税率は二〇一四年四月に八パーセント、二〇一五年十月に十パーセントになるそうだ。私は、買い物をしても税金をたくさん払わないといけないと思うと、ため息が出た。新聞を読んでも「節約生活」とか「地方・企業も深刻」とか暗い話題ばかりだ。私の家族も、生活が苦しくなるとぶつぶつ文句を言っている。

私は、日常生活の中で、税について考えたことはほとんどなかった。税金は大人が払うのだから、子どもが税について考える必要がないと思っていた。でも、この度の消費税増税のニュースをきっかけに、小学校の社会科で習った「税についての学習」を思い出した。それは、とにかく驚くことばかりだった。私たちの身の回りの公園も道路も交番も、その他いろいろなものが税金でできている。もし、税金がなかったら――。交番が有料になると行きづらくなり、事件が多発するかもしれない。公園のベンチでリラックスして休けいできなくなる。救急車を呼ぶような病気でも、お金が要るとなると、ためらってしまい、手遅れになるかもしれない。世の中がパニックになる様子が想像され、恐ろしくなる。そう考えると、私たちが安心して生活していくためには、警察・消防・道路・公園など公共サービスが必要になってくる。そのためには税金を納めなくてはならない。

私は、税金とは消費税だけだと思っていた。しかし、「税についての学習」で、自動車税や酒税など、五十種類もの税があることを知った。また、世界の国々に比べると、消費税の税率が低いことにも驚いた。

消費増税法成立。確かにいやだ。でも、なぜそうなったのか、きっと理由はある。日本の経済が赤字?借金?私が思ってもいなかった言葉が次々と出てきた。新聞には、社会保障、積み残された課題が表にまとめてあった。読んでも難しくて何となく分かりにくい。でも知らなければ、分かろうとしなければ、ただ文句を言うだけだ。何のために税金を払っているのか、「めんどくさい」ではなく「あたりまえ」と納得するためには、税金の使いみちについても十分知りたい。国語の漢字を習うように、数学の計算方法を習うように、学校でも少しずつ「税についての学習」を続けていくことができたらいいと思う。そうすれば、こんなところで税金が役だっているよとか、今年はみんながこれだけ税金を納めたよとか、今日本はこんな状態だよ、など家の人にも教えてあげられる。

少子高齢化の進展などで日本の経済社会は大きく変化している。でも税金にお世話になっていない人なんてだれもいない。私たち中学生にとって税金を納めることは少ないけど、よりよい世の中にするための税について、日常生活の中でもしっかり考えていきたい。

社会を支える税

大西里奈(愛媛・四国中央市立三島南中学校)

数か月前、英語のALTの先生がかぜをひいて、とてもつらそうにしているのを見かけた私は、「病院には行ったのですか。」と尋ねてみました。すると先生は、

「アメリカ人はめったに病院へは行きません。なぜなら、アメリカの医療費は日本に比べてものすごく高いからなのです。私がアメリカにいた時も、年に一、二回しか行きませんでしたよ。」

と、答えてくれました。先生の話から、世界には日本のように安く治療を受けられる医療制度の整った国ばかりではないということを知りました。医療費が高いと、本当に治療を必要としている人が病院に行くのを我慢したり、貧しくて病院に行きたくても行けない人が出てきてしまうのではないかと心配になります。日本の医療制度はすばらしくて、ありがたいものだと思いました。

先日、足をけがして病院に行った私は、自己不担は医療費の三割ですむことを母に教えてもらいました。そして、残りの七割は、税金で賄われていることに始めて気付きました。税金は、私たちの生活をより良くし、幸せにしてくれるすばらしいものなのだと思います。大人の人たちが汗を流して一生懸命に働き、納めてくれているもので、たくさんの人の努力や優しさが詰まった温かいお金なのです。

日本語には「お互いさま」という言葉があります。お互いを許し合い、尊重し合う心を一言で表す素敵な言葉です。今は助ける立場にあっても、いつか助けてもらう時が来るかもしれないという気持ちが、「お互いさま」という言葉に込められています。働いて収入を得た者が納税をして、子供たちやお年寄りの生活を支えるこの制度は、「お互いさま」の精神の下にこそ、成り立っているのだと思います。だからこそ、税の負担は公平・公正でなければならないと思います。脱税や税金の滞納、所得隠し、年金の不正受給などの報道が新聞にのる度に、どうしてこういう事が繰り返されるのか悲しくなってしまいます。正直に税金を納めることがばからしくなってくるかもしれません。一人一人が気持ちよく税金を納めることができるような社会であってほしいと思います。その為には、税金の在り方や使い道についてもっと学習し、正しく理解することが大切なのだと思います。

税金なくして、私達の生活は絶対に成り立ちません。私が今、楽しく学校に通って勉強したり、普段当たり前のように思ってしていることの多くが、税金によって成り立っていて、税金と私たちの生活が深く関わり合い、つながっているのだということが分かりました。そのつながりがあるからこそ、今、こうして社会は成り立っているのだと思います。

将来、学校を卒業して社会人となった時には、今までお世話になったことへの感謝の気持ちを忘れずに、社会を支える一員として、きちんと納税をしていきたいと思います。

日本の歴史から税を学ぶ

大平龍(長崎・佐々町立佐々中学校)

「古事記」が書かれて今年で千三百年を迎えた。その中に、「民のかまど」という話がある。この話には、仁徳天皇が即位され、農業生産性を高め、都市機能を整えることを目的とし大規模な工事に取り組んだ。しかし、四年後、高台から周囲を見渡すとかまどの煙が全く立っている様子がないことに仁徳天皇が気付いた。民が大規模工事によって、飯も炊けないほど貧しくなってしまったことを天皇は知った。そのため、年貢や工事への労働を三年間取りやめ、天皇も雨漏りがする宮殿で質素な生活を送った。その結果、民に豊かな暮らしが戻ってきた。これが、日本の税の原点とも言われ、一人で出来ないことを皆で協力して助け合う税制度が出来ていたようだ。

平成二十四年八月十日に可決した消費税増税法では、平成二十六年四月に八%、翌年十月には十%の消費税増税となる。

消費税が初めて導入されたのは、平成元年で、消費に対して広く薄く負担を求め所得税中心の戦後税体系を見直す手がかりとなった。また、平成九年には、消費税率が五%となり所得税制度の限界と高齢化社会への対処を目的に税率が引き上げられた。

しかし、今回成立した消費税増税法では、低所得者や年金で生活している人達に対して食料品等の日常必需品を含めて一律に課税されるため負担が重い。また、医療や介護、福祉、住宅、教育等の分野では、消費税がかからない品やサービスが多いが、部品や材料の調達時点では消費税がかかるため最終的にはだれかが増税分を負担しなければならない。

今回の消費税増税で積み残された所得税・相続税の増税など、低所得者や年金で生活している人達に対して負担を軽減することを含めた税制度の見直しが必要ではないか。大企業や高額所得者の富裕層の人達に優遇されていた法人税や所得税の上限見直しなど、騎馬戦型の担ぎ手として収入や私財、収益に応じた負担をしてもらうことが必要だと思う。また、大企業等の雇用主は、消費税の増税により勤労所得を引き下げるようなことが生じないよう努力して欲しいと思う。

なぜならば、仁徳天皇は、国民をおおみたから(大御宝)と言い「国民は国の元の元であり、たからである。」という考えから、自ら率先して辛抱をし、国民が裕福になるのを待った。そして、「高き屋に のぼりて見れば煙り立つ 民のかまどは にぎはひにけり。」と詠み、国民の生活が潤ったことが何よりの自分の富だと考えていたようだ。まさに、税の原点であると思う。

さて、今の日本では「民のかまど」から煙が上がっているのだろうか。疑問である。

消費税増税は、騎馬戦の上に乗る高齢者も負担する制度と言えるが、国の借金を先延ばしに出来ない状況でもあり、国を総合的に支える税制度の見直しも必要だと私は思う。

私の税感覚の芽

立田安那(熊本・天草市立本渡中学校)

約三年前。私が六年生のとき、「税に関する絵はがきコンクール」というものに出品した。「学校には税がいっぱいです」このようなキャッチコピーを書き、絵は日本が学校のものをかかえている絵だったと思う。私はこの作品で最優秀賞をいただくことができた。だが、年を重ねていくうちに、いただいた賞に対して、

「本当にもらって良かったのだろうか。」

と思ってしまう。それほど、税に対する考えが幼かったということだ。

現在、消費税が注目されている。五パーセントの消費税が八パーセント。しまいには、十パーセントも上げるという。日本は、これらに今、反発している状態である。

しかし、世の中には消費税が二十五パーセントの国があるのだという。その国は、デンマークだ。デンマークは、『あなたは、幸せですか。』という質問に対し、結果一位だったのだという。でも、なぜ消費税二十五パーセントの国で幸せだと言えるのだろうか。私は疑問に思った。二十五パーセントは、例えば一万円の商品を買うと一万二千五百円払わなくてはならない。そう考えると、国民の負担は大きいに違いない。税は何に回されているかに視点を置いた。すると、あるものに使われていることが分かる。デンマークは福祉社会だ。つまり、国民の医療費が生きている間お金がかからないのである。だから、幸せだと言うことができたのだ。

このように考えると、日本も広い心で受けとめなければならないのかもしれない。少子高齢化が進んでいる中で社会の担い手は私達若者なのだ。私達が社会人となった時、高齢者の年金や医療費用を負担とする人が減っていく。これによって一人の負担が大きくなっていくのだ。未来を考えると、今から将来に備えておくべきではないかと私は思う。もしかしたら、若者への負担が全てでなくても小さくなるかもしれない。また、少しでも早く理想の社会に近づけるかもしれない。ほとんどの日本の国民が反対しているが、私は賛成できる部分がある。

税を私は甘く見ていたのだろう。税は物に変えられているだけでない。自然でも、市町村でも施設でも様々な面で使われているのだ。私が成長すると共に、税感覚も養われてきた。関心を持つこと。これが私の心にあるかぎり、それが水となり税感覚の芽を育て続けるだろう。

安心できる未来を願って

比嘉麻衣子(沖縄・浦添市立浦西中学校)

何気なく観ていたテレビ番組で、日本の借金が平成二十四年までに七百九兆円もあることを知った。

「国の借金?」これと言って不自由することなく暮らしている今、私はそのことが全くピンと来なかった。現に食べたいものが食べられ、買いたいものだってある程度のものだったら買うことができる。病気やケガの時だって保険証があれば診てもらえる。世界に誇れる大きな会社や有名メーカーがあって、国民総生産だっていつも上位にある日本だからそんな暮らしは当たり前だと思っていた。毎日の暮らしの細かいところまでが税金で成り立っていることを考えたことすらなかった。予算で足りない分を国は国債を発行することで補っている。これが国の借金なのである。なぜ借金をする必要があるのだろう。またどうしてこんなにまで借金が膨らんだのだろう。そのことを母に話すと「簡単なことだよ。収入と支出のバランスが悪いから。」また、病院の領収書を私に見せて「負担割合の欄に三割って記されているでしょう。これは窓口で自分が支払う分で残りは国や市町村が負担してくれているんだよ。だから、病院にかかる人や回数が増えれば増える程、国や市町村の負担も増えていくの。まかなえる財源がたくさんあればいいけれど、今は支出がそれを越えてしまっているのが現状なんだよ。」と教えてくれた。私は領収書の金額を単純に計算してみた。「もし、これを全額毎回自分で支払うとしたら・・・。」そう考えると日本の医療制度は本当にありがたいと思った。それがもっと高額ならなおさらだと思う。

しかし、このところの不景気で保険料を納められなかったり、高齢化で医療を必要とする人がますます増え、母の言った収入と支出のバランスも悪くなっている。このままどんどん借金が膨らんでいくと、やがて日本の医療も立ち行かなくなってしまうかもしれない。そうなると、本当に医療保険を受けるべき人が受けられなくなって、尊い命を失ってしまう。

私達は、支出を増やしてしまう何か無駄なことをしてはいないだろうか。お互いの相互扶助で成り立っている医療保険、納めるべき人が納めるべき税金をきちんと納めているだろうか。

医療費などの社会保障だけが国の借金を増やしているわけではないと思うが、その他の問題も見直され、私達一人ひとりがもっと国の借金に関心を持ち、国の借金は自分達の借金なのだという意識を持てれば、この現状を打破し、皆が安心できる暮らしを作り出せると思う。これから私も豊かな未来を作り出していけるように、きちんと税金を納め、正しく使える大人になりたい。そのためにも、税金の意味について考え続けていきたいと思う。