日本税理士会連合会会長賞(平成25年度)

平成25年度は、7,248校から583,142編の応募があり、12名が日本税理士会連合会会長賞に選ばれました。

以下、掲載の了承をいただいた方の作文を掲載いたします。(順不同・敬称略)

ビートルズと税

中田陽稀(北海道・札幌市立屯田北中学校)

唐突ではあるのだが、あなたはビートルズを知っているだろうか。最悪名前ぐらいは知っているだろう。では彼らの「Tax man」という曲はどうだろう。この曲を知っていてかつ「大好きだ」と言うのであれば、あなたはそれなりのビートルズファンであることだろう。が、この文章の本筋とは関係ないので放っておこう。

この曲を作ったのはメンバーの一人であるジョージハリスン。彼がこの曲を書く以前は彼に代表曲などなく、他のメンバーから曲を褒められることもなかった。が、一九六六年に録音されたこの曲は、メンバーであるジョンレノンやポールマッカートニーが手放しで絶賛した。理由はひとつ、彼らの不満を皮肉たっぷりに音楽という形でぶちまけたからだ。

傍からボーっと聴いているとタダのカッコいい曲だが、歌詞はこんなにブラックである。「金の取り分を教えましょう。あなたは一、私は一九。何故なら私は税金取りだから。万が一、五パーセントでは少ないと思っても、全てかっさらわないだけ感謝しなさい。何故なら私は税金取りだから。運転するなら交通税、寒いのなら暖房税、歩くならば歩行税を。その金で何をするかは聞いてはなりません。(ハッハ、ウィルソンさん)それ以上払いたくないなら。(ハッハ、ヒースさん)要するにあなた方は私のために働いているのです。」ざっとこんな感じだ。ウィルソンとヒースとは、当時のイギリスの首相と野党党首のこと。

ビートルズが世界的に有名になってきていた一九六五年。ビートルズの稼ぎはそれはそれは大層なものだったろうと予想はつく。しかし、このころのイギリス富裕層の所得税は最後税率九五パーセントだった。ウィルソン首相が社会保障制度を安定させるために決定したのだ。

稼いでも稼いでも税を取られる…。そんなことに初めて気付いて完成した曲、とジョージ本人は語っている。

この一連のエピソードを知ったときに、私はこう思った。そうか、どこか自分の国(自らの所有物、という意味で)ではないところで暮らして生活する以上はその国に税を納めなくてはならないし、どれだけのお金を稼いだり手に入れたりしても、やはり生活しているその国に税を納めなくてはならないのか、と。私はこの話を聞く二、三年前まで、プロ野球選手の年棒や、サラリーマンなどの給与は、提示された額そのままを受け取れるもの、と勝手に一人思い込んでいた。実は税が引かれいる、と気付いていなかったのだ。ビートルズは私にロックだけではなく、社会のしくみ…。取り分けお金のことについても学ばせてもらった。

社会のための税金、増税。それを考えるとむやみに、「増税反対」と叫ぶ事もできないな、と「Tax man」を聴くだび思うのであった。

調和のパーセンテージ

高橋春日(秋田・横手市立横手南中学校)

「税」私がこの言葉を聞いて真っ先に思いうかぶのは、「消費税」だ。「消費税引き上げ」「消費税○パーセント」など選挙期間は立候補者の政権公約やら、政党の方針やらで連日のようにテレビや新聞で見聞きする。

デンマークでは消費税が二十五パーセントだと言う。私がこの事を知ったのは小学六年の冬だ。テレビで放送されているのを見て、頭をフライパンでたたかれたような、ものすごい衝撃をうけた。五パーセントでも普段、文具を買う時など「高いなぁ」と思うのだが、
「二十五パーセント!?」
私の心の中には、「何に使っているのだろうか。」「国民の批判はないのだろうか。」など疑問が次々とうかび上がった。

しかし番組を見ていると、国民の表情は明るく、自国をほこりに思っているということが伝わって来た。そして、デンマークは世界一の福祉国家だと思った。

「もっと詳しく知りたい。」と感じたので少しネットで調べてみると、デンマークでは社会格差があまり大きくないということが見えてきた。社会格差を示す係数「ジニ係数」が世界で最も低く、よって二十五パーセントの消費税もみんなが同じように負担しているという感覚を持つ事ができているらしい。

小学六年の私は、番組を見ながら、日本は福祉大国のデンマークをお手本にするべきではないか?と考えた。そしてデンマークのすばらしさに感激し、デンマークに住みたいとまで思った。

今、私は中学一年になった。改めて、日本とデンマークの消費税について考えてみた時以前とは真逆の考えになっている自分に気が付いた。なぜなら、日本とデンマークではジニ係数が大幅に違うからだ。

世界のジニ係数を調べてみると私が生まれた平成十二年の時点で日本は、アメリカ、イギリスに続いて世界第三位だった。これは予想していたが、とても残念な気持ちになった。ジニ係数が高いということは格差社会を意味するからだ。これでは、おそらくデンマークのように国民の誰もが同じように税を負担しているという感覚を持つ事は難しいだろう。今の日本で、消費税を引き上げるとしたら、お酒などの嗜好品に対しては少し引き上げ、食料品や生活必需品は五パーセントのまま、などの対策が必要だと思う。

学校の体育祭で「大縄とび」というクラス全員参加の種目がある。この種目は「調和」が大事だ。とべなかった人を責めたりしているうちは絶対にうまくいかない。税についても「調和」が大切になってくるのではないかと私は思う。どこかの国をただ真似るのではなく、高齢化社会の日本にあった方法で、格差を感じないようなやり方で、今よりさらに安心して暮らせるようになるのであれば、税金は将来への保証として「高いな」と感じなくなるのではないかと思う。

税金に感謝して・・・

瀧本朋佳(埼玉・日高市立高麗川中学校)

私は今年の夏、入院して心臓のカテーテル手術を受けた。中学一年生の心電図検査で、WPW症候群という先天性の心臓病だと診断された。心房に指令を出す神経が正常な人は一本なのに、私の心臓には二本あったらしい。激しい運動をしても、心臓が変だと感じたことは一度もなかったから、とても驚いた。

それから一年以上変わらぬ生活を送っていたのに、二年生の冬のある朝、突然、発作が起きた。心臓がものすごい速さで鼓動して、胸が苦しくなり、目がくらんで立っていられなくなった。そのあとには、何度も同じような発作が起きた。だから、手術を決心した。

手術後は経過が良かったので、入院は五日間だけだった。でも、退院の時に請求書の金額を見て驚いた。「私の手術と入院の費用は高いなぁ」と言うと「このお金は自己負担しなくていいんだよ。日高市役所に申請すると返却されるんだよ。」と母に言われた。「日高市が負担?」私にはよく理解できなかった。今年三月に通院していた時はお金が返ってくるなんて話はしていなかったので、不思議に思って聞いてみると、四月から実施になったとのことだった。知らなかったけれど、今までも小学生まで医療費自己負担がなかったらしい。それに、祖母が数年前に入院したときは、七〇歳以上の高齢者は医療費一割負担という制度のおかげで負担が軽かったとか。他の年代の人も、少し負担は大きくなるけれど、平等に医療を受けることが保障されている日本の保険制度は世界の中でも進んでいる。

私の家にも九七歳の曾祖母と七八歳の祖母が同居している。曾祖母は少し認知症気味で、毎日、家で面倒を診るのは家族の負担になってきたから、週に何日か介護施設に通っている。祖母は昨年、食道癌になって入院して手術した。今も通院中だ。「毎月もらえる年金から、介護保険と後期高齢者保険を差し引かれると、ほんの少しだけ残らないのよ」と祖母が話していた。だから、私の両親が色々と負担することになる。お年寄りや子供の医療費負担が少ないことは、私の家のような大家族にはとても有難いことだ。

「でも、その負担は何処で賄うんだろう?」そう思って調べてみると、国家予算から割り当てられていることがわかった。そして、衝撃的なことがインターネットに書いてあった。「日本の医療費は現在約四十兆円、これは国家予算の半分以上を占める。更に一〇年先は六〇兆円になる」と。高齢者が増えて老人医療費が増える、税金負担はどんどん増大していくのに、その税金を負担していかなくてはならない世代が、経済不況で失業者が増えていたり、保険料滞納者が激増していたりする。私は「私が大人になったら、頑張って働いて、たくさん税金を払える人になろう」また、「税金や保険料の滞納者がいなくなるように、何かができるといいのになぁ」と考えるようになった。もっと、税金の勉強をしてみようと思う。

未来につながる税

富田なずな(神奈川・公文国際学園中等部)

日本での税金の使い道で、「文教及び科学振興費」というものがある。これは、税金の中でも、学校教育を受けている私にとって深く関係のあるものだと思った。調べてみると、五兆以上ある費用のうち、実際に学校教育のために使われているのはその七割ぐらいで、残りの三割は科学技術の振興のために使われていることが分かった。私は、科学者が好きで研究しているものが科学技術なのであるし、その研究がすぐに社会で役立つわけではないのだから、自費で負担したほうがいいのではないか、と思っていた。けれども、母と話していて、そうではないことが分かった。

私の母は祖母から遺伝した病気を患っている。以前はその病気の進行を抑える方法がなかったので、検査をするために病院に通うしかなかった。二日に一回ぐらい点滴をしたりしなければならない時期もあった。祖母はその病気が悪化してしまい、入院もしたが、あまり長生きできなかった。母は、点滴を頻繁にしたが、点滴は栄養であるだけなので、よく調子が悪くなり、すごく大変だったという。しかし、数年前、その病気の進行を抑える薬が開発された。それ以降、母は、検査をしても点滴をしないで済むようになったし、調子もあまり悪くならなくなった。薬があることだけで、すごく楽になった、と母は教えてくれた。

したがって、科学技術が発展するだけで、長生きできる人が増えたり、辛い思いをする人が減ったりすると考えられる。また、多くの人の命が救える。薬が開発されたからこそ母は救われたので、科学技術を振興させるために税金が使われていて、本当に恵まれていたのだと感じた。これからもっと科学技術が発展して、祖母や母のような境遇になる人が少なくなってほしい。

現代では、税金の無駄遣いや、脱税が深刻な問題となっている。そんな今、私ができることは、教育をきちんと受けることだと思う。私たちは、国の税金を使って教科書を無償で配布してもらうなどの援助を受けている。それには、たくさんのお金がかかる。つまり、多くの大人たちが、一生懸命に働いて稼いだお金をたくさん納税することにつながるので、社会全体に大きな負担がかかる。それでも、税金を教育に充てているということは、子供たちに教育を受けさせ、教養がある大人を増やし、日本を明るい未来に変えたいと思っている人が多いからなのではないか。だからというわけではないが、私たちは熱心に勉強して、知識を身に付けなければならない。また、私は脱税など、国民の義務を免れることは、絶対にしない。そして、多くの国民に納税をすることで、私たちの暮らしがどれだけ良くなっているかということを伝えられる人になりたい。みんなが納税したお金で、一人でも多くの人の生活を守ったり、命を守ったりできたらよいと考える。

税金がない世界

橋爪志緒里(富山・射水市立大門中学校)

救急車や交番が有料になった世の中を、考えたことはありますか。例えば、急に家族が倒れて救急車を呼んだとします。一刻も早く病院に向かわなければいけない状況なのに、救急隊員からはこんなふうに言われるかもしれません。

「一回のご利用につき二〇〇〇円かかります。先にお支払をお願いします。」

こんなことでは困ります。しかし、このような世の中こそが、みんなが知っている「税金」がない世界なのです。

人はみんな税を納めているはずです。私の母も、住民税、所得税、固定資産税、自動車税など、いろいろな税を納めています。もちろん私も商品を買う時に、消費税を払っています。しかし、なぜこんなに多くの税金を納めなければいけないのかと、疑問に思いました。

前に、税金は国の借金を返すためや、お年寄りの生活を支えるためにあるという話を聞きました。それを聞いた私は、「それでは、私には何も返ってこないではないか」と少し不満に思いました。そんな私の様子を見た母は、こう言いました。

「その話だけ聞いていたら、確かにあんたの言う通りかもしれんね。だけど、税金がなかったら、大変なことになるやろうね。」

その母の一言をきっかけに、私は税金について調べ始めました。調べていてまず分かったことは、私たちの身の周りは税金が使われている物であふれているということです。小さいころよく遊んだ公園、勉強机の棚に並ぶ教科書たち、毎日通う学校……。遠い存在だと思っていた「税金」がこんな身近にあって、産まれた時からずっと私を支えてくれていたことに驚きました。そして、私が一番税金の大切さを感じられたのは母が言った「税金のない世の中」を知った時です。税金がないと、公共サービスがなくなってしまいます。つまり、当たり前のこと、当たり前の物が、当たり前ではなくなってしまうということです。最初は、本当にそんなことがあるのだろうかと、半信半疑でしたが、私の身の周りは税金が使われている物だらけ、というのを思い出し「税金」の偉大なるパワーを感じました。

「税金とは」。私の中でずっと問い続けてきた疑問。誰のために存在し、何のためにあるのか。答えは簡単です。私たちのために存在し、私たちの安全・安心な生活を支えてくれるために存在するのです。

税金を納めるのは国民の義務で、納めなければいけないから納める。それでは、本当の意味での税金を納めるということにはならないと思います。税金を納めるのは自分自身です。「税金」の意義と役割を理解することから、今後の有意義な人生は始まるのではないでしょうか。

税金を考えてみて

池戸七美(岐阜・関市立旭ヶ丘中学校)

私は小さいころから本が好きで、たくさんの本を読んできました。そのたくさんの本を読める場所というのが図書館、身近にあるわかくさ・プラザです。小学生のころは、ここに週に一回は通っていました。自分が好きなシリーズで新しいものが出たら、すぐに借りに行ったり、予約をします。こんなに身近にあって便利な場所はないと思います。

そして、もう一つ私が便利だと思う理由があります。それは、カード一枚でお金を払わずに本が借りられるということです。私は小さいころから不思議でした。なんでこんなに本があるのに、私達はお金を払わずに本が借りられるの?図書館で働いている人はみんなボランティアなのかな?といった感じです。そんな素朴な疑問がお母さんに教えてもらってやっと解けました。税金で図書館が造られているということです。税金が使われているということは、本を借りるときはお金を払わなくていいけれど、実は私も税金としてお金を払っているんだということが分かりました。でも、税金は私だけじゃなくて関市民全員が払っています。だから、図書館はみんなのものでもあると思いました。

しかし、私はよく図書の期限を守らずに、返し忘れることがあります。それで、よく家に図書館から電話がかかってきました。なかには、次に予約している人がいます、と連絡を受けたこともありました。私は、本を期限までに返さないことが普通になっていたし、期限を過ぎていたら、しょうがないかと流してしまう部分もありました。でも、期限までに返さなかったことによって、図書館で働いている人にも、次に借りるのを待っている人にも迷惑をかけてしまいます。決して自分だけのものではない、みんなが払っている税金から作られているのにと思うと、今では期限を過ぎて返していたことを申し訳なく思います。みんなが税金を払っているからこそ、私は本が借りられるのだと思いました。

図書館は税金が使われていることを知って、図書館はみんなのおかげでできているんだなということを感じました。そして、税金は公共の場やみんなが使うものに使われています。私は税金に支えられていることが当たり前になりすぎていて、深く考えたことはありませんでした。でも、よく考えたら学校も図書館も病院も税金が使われているんだなと思いました。税金は知らぬまに払っていて、知らぬまに使っている、身近なものだけど、だからこそ税金があることにありがたみを感じることが大切だと思いました。これからは私も社会人になって、もっと税金を払う機会が増えるだろうけれど、払うのがいやだなと思わずに、みんなのため、この国の人のために払っていきたいと思います。

正しく納める、正しく使う

川村奈央(大阪・寝屋川市立第八中学校)

家族で夕食を取っていたある日のことです。テレビで政治に関する番組を見ていたら、父が「また消費税が上がるなあ。日本は一〇〇〇兆円もの借金大国だから、一〇パーセントでも足りないぞ」と話していました。

私は税金に関してあまり知識はありませんが、税金が公共事業や医療、介護福祉などに使われていることぐらいは知っていました。でもなぜ、消費税率を上げなければならないのか、また、どうして一〇〇〇兆円もの借金を抱えてしまったのか。と疑問に感じました。

日本の消費税率は二〇一五年に一〇パーセントになるそうです。そこで世界各国の消費税率について調べたところ、主要先進国のイギリス、イタリア、オーストラリア、ドイツ、フランスでは、すでに一九パーセントを超えており、主要先進国の中で日本は最下位でした。また、今年の歳入予算九三兆円に占める税収は約四四兆円、ほぼ同額の約四三兆円が借金(公債金)で財政運営されています。これが、借金千兆円を作りだした正体だと知りました。

日本国憲法第三〇条で「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」と納税は国民の義務であることを規定しています。

確かに消費税率が上がれば、生活に影響が出るかもしれないし、「消費税率を上げて欲しくない」「消費税を廃止して欲しい」と思う人は多いと思います。しかし、納められた税金の大半は、社会保障、公共事業、文教・科学振興などに使われており、これらによって私達はすこやかに生活できていることを忘れてはいけません。

国税庁の発表では昨年、脱税総額は二〇五億円にも上ったそうです。また、テレビや新聞では、生活保護費や介護報酬費などの不正受給に関するニュースが今も無くなりません。このように義務を果たさない人が多く存在することが、増税や借金(公債発行)増大の一因になっていると思います。

一方、税金を管理・使用する行政側においても、震災復興費を震災復興とはかけ離れた用途で復興費を流用していたことが報道されています。「税金が正しく使われない」こうした不正流用のニュースが続くことも、納税者の義務意識を低下させてしまう原因になると強く感じました。

納税者側も行政側も「借金大国日本」の現状を十分理解して、税金を「正しく納める」「正しく使う」という義務の歯車をバランス良く廻すことが、今の日本には重要だと思います。

今、私達学生は、父をはじめとする納税者の人々によって、なに不自由なく生活することができています。今のこの環境に感謝するとともに、近い将来、納税者の一人となる人間として、「正しく納める」という義務をしっかり果たすことを決意しました。

支え合う税

佐々木晟(岡山・岡山大学教育学部附属中学校)

ぼくの祖父は昨年からガンで闘病生活をしている。大阪や倉敷で手術を受け、入院生活も長くなった。付き添いをしている祖母に
「いつも大変だけど、大丈夫?」
と、声をかけると、
「おじいちゃんががんばれるのは、みんなのおかげ。それとありがたい助けもあるんだよ。」
と医療費の補助のしくみを教えてくれた。高額な医療費の窓口負担を一定の自己負担限度額に軽減できるしくみだ。

ぼくにとって税金のイメージは消費税しかなく、なんだか損しちゃったよなぁと思っていた。将来払うことばかりに気をとられて、どう使われているか考えることは少なかった。

税金は、ぼくの行く病院で支払われる医療費、ゴミ収集や救急車といった、人の命や安全を守るために使われている。もちろん僕の学ぶ学校や教科書など、教育を支えてもいる。大好きな図書館や、スポーツ施設など、数え上げたらきりがない。ぼくの生活のひとつひとつに税金は深く関わっているのだ。

みんなも自分も、快適に暮らすための会費のようなもの、そう思えば支払うことが損だなんて思えなくなる。自分が社会のために税金を支払い、その税金が社会をよくするために使われ、自分に戻ってくる。そんなイメージができたら、税金はもっといいやつになるし、ぼくたちも社会に役立っている実感が得られるはずだ。

先日、テレビで財政破綻したデトロイト市の映像を見た。住民は治安が悪いため外出もせず、救急車も来ない。町なみは荒れ果て、人々は疲れ切っていた。税金はただお金というだけではない、人の心につながっているんだと痛感した。思いやりや助け合い、そんな言葉に似ているような気がした。

「ガンになったのはショックだったけど、医療費の補助のおかげでいろんな治療が受けられるのよ。」

祖母はほっとした顔で言った。自分がつらい立場にたった時、まわりに支えられていればどんなに安心だろう。家族や友人がいなくても、見知らぬ誰かが助けになってくれる、それが税金の力だと思う。税金の恩恵を受けること、それをただで得をしているように言う人もいるがそれは違う。自分の力だけではどうにもできない時は誰にもあるはずだ。自分の能力をフルに使って税金を払い、社会に役立つことも幸せだし、どうしようもなく困った時に社会に助けてもらえるのも幸福だ。一生の間には、どちらの立場にも立つことがあるんだろうが、そんな社会を作り出す一助にぼくもなりたいと思う。

「税金ってどんなものがあったっけ?」
母にきいてみると、
「所得税でしょ、車も家も全部税金!」

今は消費税しか払っていないぼくだが、一生税とはつきあっていこうと心に決めた。

税金と日本国民に感謝

石原聖(愛媛・四国中央市立川之江北中学校)

『この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待を込め、国民の税金によって無償で支給されています。』

教科書の片隅に小さな文字が並ぶ。これを見つけたのは小学生のころだった。低学年のころは、何回も配られる教科書にいつも書いてあり、不思議に思っていた。成長するにつれて言葉の意味を理解するようになっても、あまり気にすることはなかった。しかし、義務教育最後の年、自分が思うのは『当たり前ということの尊さ』だ。

学校へ行ける、勉強ができる、必要な物、環境が整っている。僕も含めてこれらのことが『当たり前』と思っている児童、生徒は多いのではないだろうか。しかし、僕も中学三年生となり、以前より視野が広がり、世界には義務教育さえきちんと受けることのできない子どもたちがたくさんいることを知った。

僕が日々学べるのは、国民の支えがあってこそだ。大人の方々が税金を納めてくださるおかげで、学校が運営され、教科書が配布される。税制が無かったら、平等な教育を受けるどころか、日々の生活でさえ厳しい状態の人も大勢出てくると思う。そう思うと、改めて税の支えの大きさを感じる。

日本は、先進国のなかでも巨額な税金を教育分野に投じているそうだ。その事を知り、教科書に込められた大きな期待や、人に支えられて生きていることを実感した。僕を支えてくれているのは、親や身近にいる人だけじゃない。見えない所で、顔も知らない大人の方々が毎日汗を流して働き、それを税金として納めて下さる方々の支えもあるんだと気付いた。

国の税で育てられる僕。税は、僕にいくつもの未来の扉を開いてくれる。そのおかげで、机に向かって勉強もできる。これらは全て当たり前ではなく、必然が重なった恩恵だと気付いた。この環境に感謝し、自分を成長させていかなければならないと思う。

これからは、教科書の小さな文字に込められた思いを大切に、恵まれた環境の中で様々な事を学び、将来の日本を担うことのできるしっかりとした大人を目指し、自分の足で一歩二歩前へ歩みを進めていきたいと思う。

教科書を無償で支給してくれるのは

井上翔斐(長崎・南島原市立口之津中学校)

「外国に住んでいる国民にも無償で教科書を支給しているのは、日本ぐらいやろうな。」と、父が言った。いったい何のことかわからなかった。教科書をただでもらえるのは、当たり前。そう思っていたが、
「教科書を作っている会社だって、ボランティアじゃないんだから、だれかがお金を支払っているはずやろ。」
「それは、国でしょ。」
「そう、つまり国民の税金やろ。」
という、会話を父としたことがある。

日本語補習校という、海外に住んでいる日本人の子どもが、日本の学校と同じような教育を受ける学校に通っていた私が、税金のことを意識したのは、その時が初めてだったと思う。

私のように日本で生まれて、数年間外国にいて、日本に帰る人ばかりが補習校に通って来ていたわけではない。私の通っていたサンフランシスコ補習校には、両親が長年外国に住んでいて、生まれも育ちもアメリカという友達がたくさんいた。両親のどちらかが日本人という家庭がほとんどだったので、髪の色も目の色も肌の色も様々だった。

中には、両親とも日本国籍ではないけれど、日本に長年住んでいた事があり、子供が日本の教育をずっと受けて育ったので、アメリカでも日本の教育を受けさせたいということで補習校に来ていた友達もいた。

そんな子供達にまで、教科書をただで与えるのは、なぜだろう。

答えは、教科書の裏にあった。

「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待を込め、税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」
と、中三の私の教科書にも、小五の弟の教科書にも印刷されている。これは、国語も数学も理科にも社会にも、すべての教科書に書かれていた言葉だ。

「これからの日本を担う」のは、日本に住んでいる日本人だけじゃない。そんなことを私たちに伝えようとしているのではないか、と思う。だから、補習校の子供達にも無償で支給されていたのだ。

サンフランシスコ補習校の校歌は、こんな歌詞である。

「朝日かがやく 学舎に カリフォルニアの空高く 明るい笑顔 はずむ声 共に学んだ思い出を いつか世界の かけ橋に」

この歌を、私は卒業式の日に心を込めて歌った。日本と世界の架け橋になれるような人になりたいと願いながら。

税金は、こんなところにもしっかりと使われているのだということを、みんなに知ってほしい。そして、これからも世界中の日本の教育を受けようとしている人に、支給し続けてほしいと思う。

税金を大切にするために

山口夏生(熊本・八代市立千丁中学校)

私達にとって、とても身近な税。「税は国民生活を送っていくにあたっての土台である」と言っても過言ではないくらい、私達の暮らしは税と深い関わりを持っていると思います。

しかし、「とても身近」と言うわりには、税についての知識がまだ十分でないという人も、少なくないのではないでしょうか?

私は、中学校に入学してから、年に一度は税について考える時間を学校で設けてもらえていたので、例えば、税は、直接税・間接税や、国税・地方税といったような種類に分けられることや、税の使い道、税の納め方など、この二年間で、税に、ほとんど興味・関心を持てていなかった小学生時に比べたら、たくさんの知識を得ることができました。そのおかげで、税の重要性を知れたと共に、身の回りの多くの公共施設や学習用具等、私を成長させてくれる様々なものが税で賄われていると知り、税があること、そして、納税者の方々に対しても感謝の気持ちを持つようになりました。また、感謝の気持ちを持つようになったことで、これまでより一層、教科書などの物を大切にする意識が高まり、公共の場でも「水を無駄使いしない」などといった心がけをするようになりました。

このように、ある程度の税の知識を身に付けることができれば、多くの人が、公共の場でも「物を大切にしよう」「無駄使いしないようにしよう」という考えを持てるようになると思います。もしかしたら、私達、中学生くらいの年頃だと、そういった考えを持てない人もいるかもしれません。でも、私達の義務教育期間、九年間で八百万円以上の税金が一人のために使われていると知ったらどうでしょう。少しも感謝の心や、物を大切にする心を持てない人はいないはずです。

今、世の中では、「増税」が話題になっています。私には、税についての専門的な知識までもがしっかりと身に付いているわけではないので「増税反対」・「増税賛成」とはっきり述べることはできません。しかし、国の財政が厳しくなっているのは事実です。この事実を解消するために、税の無駄を減らしていくことは、とても重要なのではないでしょうか。そして、税の無駄を減らすためには、国民一人一人の「税の無駄をなくそう」という意識を高めることにも鍵があり、意識を高めるためには、やはり、税に関する知識が不可欠だと思います。だからまずは、多くの人が気軽に税について知識を得やすい環境を整えることが大事なのではないでしょうか。

私は最初、税への関心は少しだったのですが、今では「全国の政治家の方の給料を一円ずつ減らせたら、それが合わさると、結構な予算になるのではないか」などといった、自分の意見を持つくらい興味深くなりました。

それでも、知っておくべき税についての知識はまだまだあると思うので、これからも学び続け、正しい納税者になろうと思います。