日本税理士会連合会会長賞(平成26年度)

平成26年度は、7,422校から615,230編の応募があり、12名が日本税理士会連合会会長賞に選ばれました。

以下、掲載の了承をいただいた方の作文を掲載いたします。(順不同・敬称略)

支え合いと感謝

吉田涼真(北海道・北海道教育大学附属札幌中学校)

人は何に幸せを感じるのだろう。国連が昨年九月に発表した幸福度レポートによると、デンマーク、ノルウェーなどの北欧圏の国々が上位にランクインしている。各国とも消費税率が25%と、日本の8%と比較しても高いことは明らかであるにも関わらずだ。

昨年だったと思うが、NHKで偶然それら北欧の国々の消費税と社会保障について取り上げている番組を見る機会があった。僕にとって意外なことにも、それらの国々の国民達は、消費税が高いことについて何も不満を持っていなかった。その理由は、日本と比較できないほど社会保障が充実していたからであった。教育については大学院までが無料で、全ての国民に平等な教育の機会が与えられる。また、医療についても費用がかからず、全ての国民に平等な治療の機会が与えられる。彼らはそんな自国の社会保障に安心や幸せを感じていた。そして感謝と誇りを持って「自分達も税金で大学まで学ばせてもらったのだから、働けるようになったら税金を納めて国や支えてくれた社会の人々にお返しするのが当然でしょ?」と言っていた。なるほど、素晴らしい考え方だ。

以前、家族と税金について話をしたときに、毎日通学に使っている道路が税金によって造られ維持されていることや、税金には富の再配分の機能があり、お金というのは社会の血液のようなもので、一つの場所に留まることなく、健全に循環させることで、みんなが幸せに暮らせることなどを学んだ。

また、僕の場合は父が国家公務員なので、父の給料も税金から頂いている。日々自分が食べるものから身につける衣服、住む家に至るまで税金で支えられていることになる。このことに対しても更に感謝の気持ちが深くなった。

今年の4月に日本の消費税率が5%から8%に引き上げられた。日本のマスメディアは家計への負担が増えるなど増税のマイナス面を大きく取り上げており、中学生の自分にとっても、日々の小さな買い物をする際に「3%の増税は大きいな。」と感じていた。

しかし、僕や家族、社会の人々が納めた税金が、日本のどこかで医療や年金、福祉などに役立てられたり、僕達義務教育の小中学生の教科書や教育費用に充てられていることを考えると、税金を納めることの大切さを実感し、顔も分からない誰かが納めた税金によって支えられていることに改めて感謝するようになった今、税金は「支え合い」や「協力」というイメージになった。

僕は今のところ、将来の夢を一つに絞れていないが、大人になった時には、社会の支え合いの一員として納税し、この国の国民の務めを果たせる大人になりたいと考えている。感謝と誇りを持って。

チーム日本 未来へのパス

河西歩(埼玉県・ときがわ町立都幾川中学校)

今年開催された、サッカーワールドカップブラジル大会では、各国の選手による素晴らしいプレーに魅了された方も多かったのではないでしょうか。そして世界大会と言えば、六年後にはさらに大きな感動を味わえるオリンピックが我が国日本で開催される予定です。それに伴い、各国の選手を迎え入れる為の選手村や宿泊施設、競技場の建設、交通網の充実などのインフラ整備、さらには、セキュリティなどの安全面と、様々な所に税金が割り当てられます。

では、この他に税金は一体どのようなことに使われているのでしょうか。それは、医療や年金、福祉、介護、生活保護などの公的サービス、道路や港湾施設、下水道、河川の堤防など施設の整備費、そして、学校教育や科学技術発展のために使われる費用などです。

もしもこれらを賄う税金がなかったならオリンピックの為の整備どころか、開催すらできなくなるでしょう。そして私達の生活の中では、警察がいなくなり、犯罪者は野放しで街に溢れ、救急車や消防車をお願いするのに多額のお金がかかるとともに、治療費も高額化します。道路や堤防なども整備されることなく、荒れ放題となり、事故が多発するかもしれません。さらには、私達中学生も教育を受けることが出来なくなってしまうのです。こうして考えると、税金がいかに大切で、私達の生活の助けになっているのかが身に染みて分かります。

私の将来の夢は、医師になることです。医師になるためには、国公立大学でも私立大学でも、金額の差はありますが、どちらも授業料を必要とします。しかし、国公立、私立共に税金の援助を受けており、医学教育は、国民がしているといっても過言ではありません。一人の医師は納税者全員によって生み出されるのです。いわば、納税者がサポーターとなり、選手である医学生を社会という大舞台へ送り出すということです。そのサポーターに恩返しをするためには、勝利、すなわち社会に役立つ人材になることだと思います。そして勝利へのシュートを決めるには、パスを繋ぐことが肝心です。このパスこそ、納税者から学生に、成長し納税者になった学生達が次世代の学生に与える義務というものなのです。この未来へのパスを繋ぎ、互いに支え合ってこそ、チーム日本となれるのではないでしょうか。納税者一人一人は、チーム日本のサポーターでもあり、また選手でもあるのです。

多くの人の援助を受け、社会に出る以上、教育を受ける権利を得ただけでなく、その権利を最大限に生かし、社会に貢献することが義務であると強く感じます。将来私は、サポーターの応援を胸に義務を果たし、自分がサポーターとして選手を支えていけるよう、そしてチーム日本の一員としてパスを繋げていけるよう努力を積み重ねていこうと思います。

私と税と私達

山口鈴音(山梨県・河口湖南中学校組合立河口湖南中学校)

私がまず「税」について何か答えろ、と言われたらと考えた時に、私は税について考えたこともなければ、気にしたこともなかった事に気付きました。この作文を書くにあたって、初めて真剣に税と向きあったのです。

しかし、どれだけの資料を読んでもパッとしませんでした。〝漠然〟という言葉が相応しいなと思ったほどです。言いたい事は分かるのだけれど、それが自分とどう繋がるのかがいまひとつ理解できませんでした。

そんな時、母が一冊のアルバムを眺めているのを見かけ、声をかけてみました。掃除が進まなくて、なんて言いながら何分もそうしているのです。初めは呆れていた私も、自分の懐かしい写真や恥ずかしい写真に、いつの間にか母の隣で分厚いアルバムに見入っていました。しかし、ふと不思議に思いアルバムをめくる手を止めました。急に1歳ごろの弟の写真が登場したからです。あれ、と思い一番最初のページに戻ってみると、産まれたばかりの私がしっかりと母の腕に抱かれています。なぜ私は産まれてすぐの写真なのに、弟は1歳近くの写真からなのかと疑問に思い母に尋ねてみました。すると母は母子手帳から1枚の写真を取り出し、私に見せてくれました。そこには、呼吸器に入った小さな赤ちゃんが写っていました。アルバムの私とは大違いです。聞くと、弟は昔から体が弱く、患っていたぜんそくで何度も入院したと言います。今は健康そのものだけど、何度も入院したとなれば費用も相当のものだったんだろうなと思いました。そう聞くと母は、

「入院費のほとんどは国が払ってくれたんだよ。あの時は助かった。」
と話してくれました。家のような母子家庭には、心強い味方だったんだと思います。母の「助かった」の一言で、ずっともやもやしていたものがストンと胸に落ちた気がしました。

私が払っていた税金は、巡り巡って私たちのためになっていたのです。社会保障や教育施設などの施設建設、公共サービス。特に教科書は〝子供たちの未来のために〟と国が全額を負担しているというのには驚きました。

私は今まで、税はなくても良いものだと考えていました。買い物をする時に邪魔だと感じる以外、気にもしていなかったからです。けれど、今回この作文を通して税について学び、それは間違いだったと気付かされました。少し視野を広げれば、私たちは税に支えられて生きている、と感じることが出来るはずです。また、きっとどこかで、助かった、ありがとうと思っている人がいると考えれば、税への見方も変わってくるのではないでしょうか。

この5%、8%という小さな積み重ねが私たちの未来、ひいては国の未来に繋がってゆくのだと思います

増税と暮らし~中学生の私ができること~

竹内文菜(富山県・高岡市立南星中学校)

今年の四月に私は中学生になった。私には三つ上の姉と三つ下の弟がいる。

さて、今年の三月の出来事である。とあるショッピングセンターでのこと。
「これ中学になったら必要よね。これも・・部活も始まるし、こんながも使うことになるよね。」

母は次から次へとあふれんばかりに買い物カートに積んでいく。中学進級と高校進学が重なり、我が家はいつにも増して物いりだ。あまりの買い物の量に少し恐ろしくなった私は母に、
「学校始まってから買えばいいじゃん。」
と言った。すると母はあっさり返す。
「うん、でもね、四月から消費税八%になるやろ。少しでも出費抑えんなん。」
私は、まじまじとレシートを眺めた。確かにこれが五%から八%になると・・・たかが三%と思っていたけど、結構な額になるんだなと思った。買い物は日々のことだ。増税されたら我が家の生活は苦しくなるのではないかと不安になった。

そうして迎えた四月。私が毎月購入している雑誌も消費税八%に上がった。ずっと読んでいて中身はそれほど変わらないのに値段だけが変わって、不思議な感じがした。

そんな六月のある日のこと。母が「やったー。」と大喜びで私に一枚の紙を見せてくれた。見れば、「中学一年生~三年生のお子様のいる方へ 十月から子供医療費助成制度が拡大されます」と書いてある。
「えっ?ピンクの紙復活するんや。」
私が六年生まですごくお世話になった用紙なので、驚きと嬉しさでいっぱいだ。
「税金上がったけど保障も充実したね。」
と母が言った。

私は四歳からアトピー性皮膚炎で毎月通院している。血だらけだった顔や背中は治療のかいあって今ではつるつるになった。夏の日焼けによる悪化を防ぐ工夫をし、冬の乾燥に気をつけ、そのうち通院サイクルも三ヶ月毎になった。幼い頃からピンクの用紙と共に通い続けたかいもあり、この夏、主治医からは
「次の予約は入れませんので、今の状態をキープし、都合が悪くなれば受診してね。」
という言葉をもらえた。肌もつるつるになって部活動も休まずに行けて嬉しかった。

「子供医療費助成制度」は皆が納めた大切な税金を財源にした制度だ。税金には「払う」だけでなく、「使う」という面もある。日ごろの生活の中で、私たちは「払う」方にばかり目が行きがちだが、身の回りで色々なことに使用されていることを実感できた。

レシートに印字された「税額」。増税に対する私の不安は、安心に変わった。中学生の私に今できることは、税の恩恵に感謝しつつ、大切な税金に支えられたピンクの用紙に本当に必要な時だけ助けてもらえるように、健康な状態を維持することだと思う。

中学生としての義務

高井万葉(岐阜県・本巣市立本巣中学校)

僕の学校の校舎は、七年前に建てられたばかりだ。教室や廊下、体育館はとてもきれいで、エアコンや太陽光発電といった設備もある。校舎が新しいので、気持ちよく、集中して学習に取り組めている。

そんな校舎を美しく保とうと、環境委員会が主催し、毎年「クリーンマスター」という取り組みを行う。それぞれの班の掃除を八つの項目で点検し、基準に達した班はレベルアップできる。レベル一からはじまりレベル六に達すると「クリーンマスター」の称号が与えられて、さらにレベル七まで取り組みを高める。今年度は僕が環境委員長になり、この取り組みに点数をつける制度を加えた。はじめはなかなか掃除に集中できていなかった班も、真剣に取り組むようになり、掃除を工夫するようになる。校舎を美しく保つ、また真剣に取り組んで集中力を養う。そして、心をみがこうと行われている。僕も環境委員長として、掃除を改善し、校舎がきれいになるよう呼びかけてきた。いつも校舎をきれいに保ち、気持ち良く過ごせているし、今後校舎を使う後輩たちもきれいな校舎を使うことができる。僕たちの学校がとても誇りにできる取り組みだ。

先日、学校で租税教室が行われた時、僕は考えた。毎日、当然のように使っている校舎は税金によって建てられたものである。美しい上に、色々な設備がある。どれだけのお金がかけられたのだろう。とても多くのお金が僕たちの校舎のために使われたに違いない。

そう考えると、僕が学校で力を入れて取り組んでいる掃除は、今、校舎を使っている僕たちや後輩たちのためだけではない気がしてきた。僕たちが行っている掃除は、税金を納めた国民全員に感謝の気持ちを表すことにつながるのではないかと考えた。そして、今、僕たち中学生が校舎を掃除し、美しく保ち後輩たちに引き継いでいくことは、国民の義務としての納税と同じ意味を持つのではないだろうか。国民の一人である中学生としての義務なのではないかと思う。

そう考えると、僕たち中学生は、今は消費税しか納めていないが、国民の一人としてできることがあると思った。例えば、今、学校で使っている机や椅子は三年間同じものである。大切に使うことも義務である。他にもできることはたくさんあると思う。僕は今後も自分にできることを進んで行っていこうと思う。それが中学生としての義務である。

僕が大人になると、納める税金の種類が増える。給料をもらえば所得税、家に住めば住民税など…。消費税を納める額も増える。税金を納めるようになったら、しっかり納め、国民の未来を担う一人であることを誇りにできる大人でありたい。また、納めた税金が何にどう使われているかを把握している大人になるため、今は将来のための礎を築きたい。またこれも、中学生としての義務なのだから。

税金の優しさ

藤阪希海(兵庫県・播磨高原広域事務組合立播磨高原東中学校)

税金。そう言われても、私はそれについて何も知らないなあ、と作文を書くにあたって思った。身近なはずなのに、何も知らない税金。どんな事に使われているのだろう。無ければ困るのだろうか。調べながら、「税金の無い世界」を想像してみた。

行ってきます、と朝家を出る。歩いて学校へ行こうとしているのだ。でも、きっと途中でこけるだろう。道端の植物の剪定も、道路の修繕も行われていないからだ。もう、と何かに怒りながらも、学校に着く。すると、校門の前に首から箱を提げた校長先生がいた。

「おはようございます。」と挨拶をする。

「おはよう。はい、ここに今日の授業料入れてね。校舎も土地も先生の給料もお金がいるからね。お金払わなかったら、学校の敷地には一歩も入れないよ。」
学校へ行くのにお金なんか持たない私は、困って当然引き返す。仕方ない。図書館へ行って勉強だ。しかし、図書館にも入場料がかかるようだ。それどころか、窓から覗いてみると、館内にろくに本が無いのだ。何てこった。呆然としていると、後ろから包丁を首に突きつけられた。後ろへ目をやると、最近ニュースで騒がれている連続殺人犯がいた。そう、この世界には警察もいないのだ。

ここまで想像して、私は税金の無い恐ろしさが身に染みた。火事になっても駆けつけてくれる人はいない。公正な裁判官がいなくなったら、社会は荒れ放題だろう。税金のお陰で成り立っているのは物品だけではない。

私は昨年、インフルエンザにかかった。学校を休み病院へ行った。その時でさえも、母は病院でお金を払った様子はなかった。

「母さん、お金払ったの」
当然私は尋ねる。すると、

「中三迄、無料なのよ」
と言うではないか。どうやら、中学三年生迄医療費無料でいられるのも、税金のお陰らしい。

私は、これまで税金とは無理矢理払わされるもの、というイメージだった。でも、そうじゃない。少しずつ皆がお金を出し合って、住みやすいまちにしましょう、という制度なのだ。地域の集会所、高速道路、公園…。外に一歩出て周りを見渡すだけでも、税金のお陰で利用できる物が、溢れかえっている。そしてそれは、大抵生活していく上で必ず一度は使うものだ。税金は、国民の生活を保障する為、助け合っていこうという意味で払われるのだと思った。何て皆に優しい制度なんだろう。税金は払わされるものじゃない。むしろ、進んで払うべきなのだと思った。

問題は、税金を無理に払わされている、と思っている、以前の私のような人も少なくないことだろう。どうすれば、その人達に税金の優しさを伝えられるか。私にできることは何だろう。全員が納税し、協力して素敵なまちに住む。私の願いが一つ増えた。

税と私たちの将来

伊藤のぞみ(広島県・庄原市立高野中学校)

私は今まで、税の役割や種類などを、あまり知りませんでした。そして、税に関わる問題についても、考えてきませんでした。私には関係ないことだと思っていたからです。

しかし今回、税について調べてみて、税は私たちの生活に大きく関わっていることが分かりました。税とは、社会を支える「会費」のようなもので、生活に役立つことや助け合いなどのために使われていると知りました。例えば、病気になり、手当てをしてもらう時、病院にはらわなければならないお金の半分は税金が使われているということや、学校の学習で使うものは「補助金」が出されているということ、高齢になったら働かなくても「年金」がもらえて、安心した暮らしができるということなどです。これを知って、税金はとても大切で、私たちの生活に絶対に必要だ、と思うようになりました。そして、もっと税について知っておこうと思い、詳しく調べてみました。

すると、国には「公債金」という借金があることを知りました。私はその公債金と税金の関わりに興味をもちました。

公債金は、国が集めた税金で返しているそうです。しかし、最近公債金を使うことが多くなり、税金でも返しきれないという事態が起こっていると知りました。なぜ税金で返しきれないのかを考えたところ、私は、「少子高齢化」が影響しているのではないかと思いました。高齢化により、年金の量が増え、税金が足りなくなってしまったのだと考えます。しかも、若者が減っている中、働かない人もいて、納められる税が少なくなっているという問題もあると思います。このままだと、一人が納める税金が増えたり、高齢者も退職できずに働いたりする社会になるのではないかと思い、不安になりました。今年の四月から消費税が五パーセントから八パーセントに増えたのは、今、社会でこのような問題が起きているからだと、分かりました。

今回、税ついて知ったことで、日本の社会で起きている少子高齢化による問題や、将来を考えるということなどに、取り組むことができたと思います。私は、はじめ、税に関わる問題は私には関係ないと思っていました。しかし、調べてみると、税は私たちの今の生活に、すごく役に立っていて、また税に関わる問題は、私たちの将来にも影響を与えているのだと分かりました。このまま日本の少子高齢化が進めば、若者が納める税は、一人あたりどれぐらいになるのでしょうか。将来はどうなるか分かりませんが、私は、きちんと働いて、生活、そして社会を支える「税金」を、しっかり納めていきたいです。

税に助けられて、今、私が思うこと

大本泉(徳島県・徳島文理中学校)

中学校に入学して半月経った頃、いつも飲んでいる、アレルギー性鼻炎の薬がなくなったので、耳鼻科を受診した。今までは、診察が終わったら、診察カードと薬の処方箋を受け取るだけだったのに、母は医療費を支払っていた。不思議に思ったので、病院を出て、「今日は何で、お金を支払ったの。いつも払わないのに・・。」
と私が母に聞くと、

「私たちの住んでいる所は、小学校を卒業するまでは、医療費は払わなくてもいいの。働いている人が納めている〝税金〟というお金で、医療費に賄われているよ。」
と、母が教えてくれた。

母の話を聞いて、本当に驚いた。それと同時に、感謝の気持ちでいっぱいになった。小さい時、体の弱かった私は、何回も入院した。また、数え切れない程、通院もし、薬を飲んだ。そのお陰で、私は今では、とても元気になった。これまで、どれだけの医療費が私のために、必要だったのか、改めて考える良い機会となった。

また、他に身の回りで税金が使われていることはないか探してみた。すると、祖父に時々届く"医療費のお知らせ〟というハガキを見てみた。高齢の祖父は、肺がんの治療のために入退院を繰り返している。よって、医療費の総額は驚くほどの金額だった。しかし、これもまた、税金のお陰でわずかの支払いで済んでいる。自費で全て支払うとなると、到底不可能だ。税金の有難さを痛感した。

また、毎日、使っている教科書が、私たち義務教育中の児童や生徒に、無償で提供されていることが分かった。本屋さんで買う本には、値段が記されているが、教科書には値段の表示はなく、

「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」
と書かれていた小学校一年生から今まで、学年が変わる度に、たくさんの教科書をあたり前のようにもらい、それを使ってきた。値段にすると、どれくらいするのだろうか。想像もつかない。

今、私にできることは、この教科書でしっかり勉強することだと思う。それが、何よりのご恩返しになるのではないだろうか。そして、将来、働き始めて給料の中から税金を納めたいと思う。

また、私も今までそうであったが、税金の意味、また、その重要性を社会の中で、正しく伝えていけるような人間になりたいと思う。そうすることが、教科書の裏にも書かれていた、〝これからの日本を担う〟私たちの使命ではないかと思う。明るい未来の日本のためにも、正しい税金の知識と役割を胸に秘め、立派な社会人になることを、ここに誓う。

未来のために

春本詩乃(福岡県・北九州市立穴生中学校)

お店に並んでいる商品の値札に、「税抜」と書かれているのを見ると、なんだか損した気分になります。お茶を一本買うぐらいならあまり気にならないけど、大きな買い物をすると、やはり「税金がなかったらな・・・。」と思ってしまいます。だから、この作文をきっかけに、税についていろいろなことを調べました。

例えば中学校です。学校で授業を受けるには、教科書が必要です。毎年当たり前のように配付される教科書ですが、これは税金で作られています。図書館なら税金が使われる理屈は分かります。それは、みんなの役に立つからです。それならなぜ、教科書をはじめとする教育に、税金が使われるのでしょうか。

現代の日本では、少子化が進んでいます。十年後、二十年後に私達がこの国を支えていかねばならなくなった時、きっと今よりも一人一人の若者の力が大きな存在になっているはずです。そんな若者の中に、きちんと教育を受けられなかった人が大勢いたらどうでしょうか。日本の暮らしや経済はめちゃくちゃになってしまいます。しかし、教育に税金が使われなければ、貧しい家の子供は学校に通うことができません。だからこそ、教育には税金が使われるのです。「自分が納めた税金が知らない子供の教科書になるなんて。」と思う人もいるかもしれません。でもその考え方は間違っています。十年後、二十年後の未来に大きく影響する子供達に教育を受けさせ、深刻化していく少子高齢社会に立ち向かっていけるように育てるのがみんなの役目です。そして、教育を受けるのが当たり前と思わずに、未来を託されているということの重大さと感謝の気持ちを忘れずに勉強するのもまた、みんなの役目だと思います。

三年前の三月十一日、東日本大震災が起こりました。その時、日本中の人が現地の人達のために何かできないだろうかと必死でした。自衛隊の人なら直接手を差しのべることができます。でも私はどうでしょうか。東北に行く事も無理ですし、ボランティアに入る事もなかなか難しいです。そんな時、誰もが利用したのが「募金活動」でした。「何か力になりたいけれど、どうすれば良いかわからない。せめてこのお金が何かの役に立つなら・・・。」きっと募金している人はそう思っていたはずです。

税金も、これと同じではないかと思います。日本のために、私達が直接できることはあまりないかもしれません。でも、みんなが少しずつ納税すれば、一つ一つ、確実に暮らしは豊かになります。周り見回してみると、税金でつくられたものばかりです。私は、「税金がなかったら・・・。」と考えていたことを、とても恥ずかしく思いました。

税金は、「納めなければならないもの」ではありません。「私達が未来のためにできること」だと思うのです。

みんなのための「思いやりの税金」

久保田来斗(熊本県・合志市立西合志中学校)

僕は4人兄弟、妹が3人います。「4人かぁにぎやかでいいですね。」とよく言われるが、赤ちゃんがお腹にいる時のお母さんは大変だったことを聞きました。

僕がお腹にいる時、切迫流産で入院をしたそうです。入院中は点滴を何本もして、毎日何種類もの薬を飲んでいました。お腹の赤ちゃんがお腹の外で育つ大きさではないのに出てこようとしたからだそうです。薬を飲んで出血をおさえ、点滴で赤ちゃんがまだ出てこないようにしたそうです。妹の時も三人共同じように入院をしました。何度も何度も入退院を繰り返してました。元気な赤ちゃんを産むためにはものすごくお金がかかります。赤ちゃんの様子を定期的に検査する妊婦検診にかかる費用は、普通の検診で五千円~八千円、血液検査などの検査があると軽く一万円は超えるそうです。その負担が大きいので僕のお母さんは検診を減らしたそうです。

でも、その検診を減らしたことで後悔を作ってしまったと話してくれました。お腹の中で赤ちゃんが死んだそうです。きちんと検診に行ってれば赤ちゃんの異常にも気づいてたかもと、母はずっと泣いてたそうです。

妊婦さんが安全にそして健康な赤ちゃんを産むためには最低十四回の妊婦検診が必要だそうです。二〇〇九年 一月から妊婦検診十四回無料システムというのができました。少子化対策の一環として、妊婦検診の費用を助成しようということになり、国から地方自治体に予算が下りるようになりました。「十四回までは検診代を無料」になったのです。これは「税金」から支払われます。四番目の妹の時はこの制度が適用され、通院が楽になったと母が話してくれました。それから安心して赤ちゃんが産めたのだそうです。

出産したら出産費用を退院の時に病院に三十万から四十万支払わなければならないのだそうです。これは国の税金から支払われます。

僕が産まれる頃は、退院時に一旦自分で出産費用を支払い、そして市役所に申請して出産費用が三十万円まで返ってきたそうです。今は退院時に書類を提出するだけで、受付で出産費用を支払わなくても良くなったそうです。これも僕達の「税金」から支払われてます。

今年から消費税が五パーセントから八パーセントに上がりました。自動販売機のジュースも百五十円が百六十円に値上がりしました。「高い」と思ったのが本音です。でも今回母の話を聞いて、僕達が納める「税金」は希望と思いやりに変わることがわかりました。必要なことに、必要な人のために使う大切な「税金」。その税金を誇りを持って、納税の義務をきちんと果たす人になりたいです。

僕や妹のためにも使われた大切な税金を、次に必要としている人のために。

震災復興のために

大泉光(沖縄県・南城市立久高中学校)

私は中学一年生の春から、地元である東京都八王子市を離れ、沖縄県南城市にある久高島に山村留学をしています。二〇一一年三月十一日、東日本大震災の日を、私は東京都八王子市で体験しました。

当日の午後二時四十六分、小学校の教室にいた私は、震度五というこれまで体験したことのないゆれを経験しました。特に大きな被害はありませんでしたが、皆が初めて体験する恐怖におびえ、様々な不安を口にしたことを今でも覚えています。東京中の電車は全て止まり、交通は大混乱。仕事に出ていた父、高校一年生の兄はその日、家に帰って来ることは出来ませんでした。その後も計画停電など、震災の影響は私達の生活を直撃しました。

テレビで見た映像は、目を疑うものでした。町がまるごと津波にのみこまれていく様はとても衝撃的でした。父と兄はそれぞれ現地で、震災ボランティア活動に参加しました。現地の状況を目の当たりにした父や兄の話は、とても生々しく、震災が起こったという事実と被害の大きさを実感しました。この大きすぎる被害を、誰が、どのようにして元に戻すのかを考えると、気の遠くなるようなことだなと、幼なながらに感じたことを覚えています。

そこで、震災復興の為の税金の仕組みがどうなっているのかということを、調べてみました。二〇一一年の秋に法律が改正されて、「復興財源」の仕組みが作られました。復興の為の増税は、復興特別税(復興特別法人税、復興特別所得税)と住民税の増税からなります。復興特別法人税は三年間税額の一〇パーセント、復興特別所得税は二十五年間税額の二・一パーセント、住民税の増税は一〇年間千円を増税するものです。その総額は、一〇・五兆円にも及びます。復興財源はこれだけでなく、総額で二十五兆円もの予算が準備されることになりました。私はこれらの仕組みを知り、その影響の大きさに改めて驚きを感じました。私が社会人になった時に納める税金までもが、すでに復興財源に組みこまれているのです。他人ごとではないと知ったのでした。

ところが、二十五兆円の財源のうち、二〇一三年度までに使われたのは十八兆円にとどまっています。この事もあってか、経済政策のひとつとして、復興特別法人税は今年三月末をもって一年前倒しで廃止されました。所得増税は二十五年間も続くのに、おかしな話だと思いました。さらに、復興予算の不正な使われ方を報じるニュースをテレビで見て、理不尽だとも感じました。

このような事実を知り、震災の復興を願って税を納めている人々の気持ちは踏みにじられているのではないかと思いました。大切な税金が正しく使われるように、私達一人一人が意識を高く持って考えていかなければならないと感じました。