日本税理士会連合会会長賞(平成28年度)

平成28年度は、7,467校から629,534通の応募があり、以下の12名が日本税理士会連合会会長賞に選ばれました。(順不同・敬称略)

助け合いの心

阿部倫歩(北海道・釧路町立富原中学校)

「私たちの納める税は何に使う?」私は買い物で消費税を支払う時ふと疑問を持ちました。自分の少ないお小遣いで物を買うときでも消費税を支払わないといけないので大変だからです。今まで買い物をする時答えがわからないままなんとなく税金を支払ってきましたが今回この作文で税について調べる機会ができました。

私たちの納める税金は主に公共施設や道路・福祉・医療・教育などに役立っていることがわかりました。そして自分の身近なところでは学校の維持費・教材費やいつも通る道路の整備、皆が使う公園の遊具など毎日日常の中で使う物見る物が税金で支えられていました。

最近私の学校では体育館が新しくなり、トイレも綺麗になりました。このように私達の学校生活がより快適になったのは税金のおかげと知りました。毎日当たり前のように行く学校も実は様々な税金によって助けられていて学校に行けることに感謝しなければと思いました。

父から税金に助けられた話を聞きました。昔、私の父が転職し収入が安定しない時期があったそうです。そのときに我が家の教育費の補助や私の医療費の免除などを税金で補ってくれ、とても助かったそうです。今では収入が安定し、誰かの役に立つようしっかりと納税しています。これは相互扶助といってお金をお互い出し合って助け合う考え方だそうです。

税金についての調べを進めていくと復興特別所得税という東日本大震災復興のための新たな税金を知りました。国民は相互扶助と連帯の精神に基づいて被災者への支援その他の助け合いに努めるものとするという理念のもと制度化されたもので、これにも相互扶助が唱われています。

復興特別所得税は自分達の暮らしを豊かにするためには直接的には関連性の無い税金ですが、だからといって自分達だけが得をするような考えは違うと思います。同じ日本人として被害を受けた人々へその税金が少しでも役立ってくれればいいと私は思います。

今後消費税が八パーセントから十パーセントへ変わろうとしています。消費税が増税されることに正直抵抗はあります。しかし、かつて私達家族を助けてくれた分、次は私達が誰かのために税を納めようと思います。そして私たちの納める税金が人々の暮らしのために使われるのならば、今より税金が増えても快く納めようと思います。

私は税金の相互扶助の考え方を知り税に対する考え方が変わりました。今後も税金の使い道を意識することで心を豊かにしていこうと思います。

教育の平等の源

渡部夕佳(秋田・羽後町立羽後中学校)

なぜ税金なんて払わなければならないんだろう。レシートを見ながらいつも思っていた。消費税増税が来年の四月に先送りになったことにも、私はこころの中でほっとしていた。消費税は買い物をするたびに払わなくてはならないし、一回の額は少なくても合計すれば、それなりの金額になってしまう。

そんな私の考えが少し変わったのは、社会で「もし税金がなくなったら、どんな世の中になってしまうのだろうか」をテーマにした動画を見たからだ。火事なのにお金がかかるからと消防署に通報しない人。公園は荒れ果て、橋や道路は壊れっぱなしに・・。でも私にとって一番衝撃的だったのは、授業料を払えない子供は、教育を受けられないということだった。

私は教員をしている母の影響もあって教育に興味があり、将来は小学校の先生になりたいと考えている。だから教育を受ける権利は、等しく全ての人に与えられなければならないと信じているし、教育こそが様々な問題を解決する最も根本的な手段であると思っている。だから「税金がなくなれば教育の平等もなくなる」という事実に、愕然としたのだ。

テレビなどで、紛争地で暮らしている子供たちや難民になった子供たちの姿を目にすることは、これまで何回もあった。しかし私は「かわいそう。食べる物はあるのだろうか。」と思うことはあっても、彼らが「教育を受けていない」ということには思い至らなかった。適切な時期に適切な教育を受けないでしまう、ということは、人間の一生に大きなダメージを与えるのではないかと思う。教育は人に夢や希望を持つ力を与える。教育を受けずに、彼らはどうやって国を再建していくのだろう。

振り返って自分の置かれた状況を見てみると、私たち日本の若者はとても恵まれていることに気付く。教育の平等は保証され、安全な社会で、安心して生活することができる。火事になれば消防車が何台も駆けつけてくれるし、美しく整備された公園で遊んだりくつろいだりすることもできる。若者は未来への夢や展望を持ち、勉強やスポーツに打ち込むことが許されている。これらは全て税金が正しく納められ、正しく使われているからこそ、実現されていることなのである。

夢が実現し小学校の先生になったら、私は子供たちに「教育を受けられることの幸せ」を伝えていきたい。夢や希望を持ち、それに向かって生きていくことは教育の力なくしてはありえないのだということを。そしてそのためには、みんなが納める税金が必要だということも。

税について考えることで、私は世界について、また自分の未来について考えることができたと思う。今回気付いたことは、おそらくこれからの私の生き方に大きな影響を与えるに違いない。このことを忘れず、生きていくつもりである。

大切な一票のために

柴田真歩(茨城・常陸太田市立瑞竜中学校)

「一〇八〇円です。」

私はこの春、修学旅行で京都へ行った。両親や祖父母からお小遣いをもらっていたので、お礼に様々なお店でお土産を購入した。購入する物には全て八%の消費税がかかる。この消費税とは、物を買った時に納める間接税を意味している。三日間の修学旅行中使えるお金は、学校の決まりで全員同じ額に決められている。お土産の他に班別行動で寺院なども見学して回るので、消費税分も考えながら計画的に使わないと、みんながアイスを食べていても我慢することになる。しかし、毎月お小遣いをやりくりしている経験を活かして、みんなとアイスを食べたりジュースを飲んだりすることが出来た。

毎年この時期に、税のことを学び、税金の作文を書く。今年は税の使い方について、自分に置き換えて考えてみた。私の一カ月のお小遣いは、三〇〇〇円。少ない額かもしれないが、これが私に与えられた予算額となる。使い方は、好きなアイドル雑誌を二冊購入して一〇〇〇円、文房具を買うのに一〇八〇円、学校で読む本を五〇〇円、お菓子四二〇円。その他にどうしても買いたいものがある月は、母に頼んで、お小遣いを前借りし、翌月分から返すこととなる。これは借金となる国債発行と同じで、公債金と言い換えられる。国税庁ホームページで調べると、今の日本はこの公債残高がウナギ上りで約八三八兆円。国民一人あたり約六六四万円になる。毎年三〇〇〇円をやりくりしている私にとって、想像をはるかに超えた金額。そしてそれは私も背負っている借金。

最近、東京都の知事が家族旅行やマンガ本購入などに政治資金を使っていたことが分かり、多くの批判的な声を受け辞任した。この報道を聞く度に、政治家に対して疑念と不安の想いが募る。

私は中学三年生になり、社会科の授業で公民を学び始めている。父からは「公民は社会の仕組みとルールを学べるとても大事な授業。憲法や政治や税制についても学ぶので、大人になるには必要なことばかりだ。」と、言われている。その公民では、日本国民の三大義務は「教育・勤労・納税」であることも学ぶ。国民に公平な教育の場を提供し、働いて、税金を納め、社会を持続させる。このお陰で私は義務教育最終年を迎えることが出来ている。

今年から十八才で選挙権を持つようになり、参議院選挙の投票が行われた。私が選挙権を持つまでに後四年。しっかりこの国の歴史と文化を学ぶと共に、「ひと・もの・こと」に積極的に関わり、社会を知り、将来を考えられるようになり、自分の一票を大事にしたい。

そして、公平・公正に集められた税金が正しく使われ、公債金を減らしながら持続可能で明るい社会を作り上げていきたい。

連携が育てる社会

佐藤美柚(東京・練馬区立開進第一中学校)

「計算が面倒になった。」

私は税金が八パーセントに引き上げられたとき、そうとしか思わなかった。正直、私は税金についての関心があまりなかった。小学生の頃に社会の授業で、税金は国民の暮らしを支え、豊かにするためのサービスの提供に必要なものだと習った。しかし、具体的に何が行われているのか、どんなことに役立っているのか、深く考えていなかった。

そんな私を変えてくれたのは、オーストラリアへのホームステイだ。私は今夏、練馬区が国際理解教育を一層推進するために毎年主催している「練馬区立中学校生徒海外派遣団」の一人として、一週間オーストラリアでホームステイをした。海外へ行くとなると、通常は多額の出費を伴うはずだが、この海外派遣は、区が費用の大半を税金で負担してくれた。母にも海外派遣に応募するときに「あなたは税金でオーストラリアに行かせてもらうのだから、中途半端な気持ちでは絶対にだめなんだよ。感謝の気持ちを忘れてはいけないよ。」と言われた。私はそう言われたとき、果たして自分は税金で行かせてもらってよいのか、とためらった。しかし、行かせてもらったからこそ、その喜びや感謝の気持ちが強くなったと思う。オーストラリアでのホームステイは言葉と文化の壁を越え、たくさんの友情を築くことができた。このような素晴らしい経験ができたのは、税金のおかげでもあるのだと思うと、居ても立っても居られなくなり、私は帰国後、税金について調べてみた。

医療などの社会保障、教育や警察、消防といった公的サービスは、私たちの暮らしに必要不可欠だが、その提供には莫大なコストを要する。その費用を広く公平に賄い、公的サービスを充実させるためには、国民が連携し合うことが必要であるのだ。私はこの連携の中心こそ、まさに税金ではないか、と考えた。つまり「税金の本質はみんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作っていくことではないか」私はそのことに気が付いたとき、まるで将棋で王手をとったかのような興奮に襲われた。

私の通う学校では、バリアフリーに配慮した、スロープや階段昇降機が設置されている。また、教科書は毎年、新しい物が配布される。病院や薬局では、医療費の補助を受けられる。このように、私の周辺でも様々な取り組みが税金によって行われている。少しずつ納め続けた税金が、やがて大きな力を持ち、必要としている人たちのもとへ形となって届く。その恩恵は、誰もが必ず受けているはずだ。

このように考えると、私は以前のように税金に無関心ではいられない。だから、今後はよりよい社会、即ち「全ての人が暮らしやすい社会」の実現のために、税金の使われ方や意味について考え、自分に出来ることを探したい。そして、税金について正しく説明ができ、考えをしっかり持った大人になりたい。

私たちにとっての税金

北野風生(富山・魚津市立西部中学校)

私たちにとっての税金とは何でしょうか。

税金とは、「納めなければならないもの」というイメージが私の中で強く、その後の使い道について深く考えたことがありませんでした。しかし、よく考えてみれば身の周りには税金でまかなわれているものがたくさんあり、私たちの「豊かな生活」には欠かせないものだと気がつきました。

私の母は会社員で、父は大工です。給料から払う税金、所得税などは母の場合給料をもらうときにすでにひかれていますが、父の場合はそうではありません。毎年二月、三月になると、自分で確定申告をしています。母は、給与明細で税額を確認しているし、父は確定申告の書類作成のときに収入や経費に基づいて税額を計算するので、いくら税金を納めているのか、いくら納めなければならないのかがよく分かると言っています。両親が一生懸命働いている姿を知っているので、その両親が納めた税金は大切に使って欲しいという思いがわいてきました。

身の周りの税金の使い道に、福祉関係があります。私は昨年魚津市社会福祉協議会ヘルパーステーションで、一週間職業体験をさせてもらい、その現場を見てきました。自分のかわりに買い物や掃除をしてもらったりする人もいれば、すぐ近くのデイサービスセンターを利用し、楽しい時間を過ごしに来られる人などたくさんいらっしゃって、笑顔があふれる場でした。このヘルパーさんや施設を利用するお金は、介護認定の度合にもよりますが、大部分を国や地方公共団体が税金で負担しているそうです。その一週間で介護を必要とする人やその人の家族にとって、ヘルパーさんがどれだけ必要なのか、それがどれだけ支えになっているのかを目の当たりにしてきました。多くの人が介護サービスを利用できるのも、税金があるからです。私たちが納める税金によって笑顔になる人がいる、豊かな生活を送れる人がいる、ということを知って、税金の大切さを再確認した機会でもありました。

次は逆に、税金によって自分が助けられていることについて書きます。私が今、十分な学習を家計に負担なく受けられているのは、国が教科書や授業料などを税金で負担しているからだと思います。その他にも、綺麗な校舎で学べることや補整された道路を歩けることなど、全てが税金のおかげなのです。

自分たちが納めた税金が誰かの役に立っている、逆に誰かが納めた税金が自分たちを助けてくれている、そんな持ちつ持たれつの関係を生み出しているのが「税金」です。税金は私たちがお互いに助け合うためのものなのです。税金の使い道にきちんと目を向け、一人一人が意識して納める、そのことがとても大切だと思います。そして、より豊かな生活、豊かな国になるように私たちの世代も努力していかなければならないと感じています。

今、14歳の私が考える税

水谷日向子(三重・桑名市立光風中学校)

以前、私の友達のスリランカ人から、スリランカでは小学校から大学まで教育費は無料と聞き、驚いた記憶があります。高校・大学は今よりずっとお金がかかるようになるね、と私の両親が話しているのを聞いたことがあったからです。中学生の私にとって身近な税と言えば消費税ですが、その他の税金についてもほとんど知識がなかったので、国税庁のホームページを訪問しました。まず驚いたのが、日本の2015年度歳出総額96兆3420億円のうち教育や科学技術の発展のために使われるお金『文教及び科学振興費』が、5・5パーセントの5兆3580億円だということでした。これが多いのか少ないのか、世界の国々と比べてどうなのか、すぐには想像がつきませんでした。しかし円グラフを見つめていると、なんだか少ないような気もします。小学校の校内掃除の時、トイレの修繕がなかなか思うように進まない、と校長先生が嘆いていたことを思い出しました。又、歳出のうち、一番大きなウェートを占めるものが、私たちが安心して生活していくために必要な「医療」「福祉」「介護」「生活保護」などの公的サービスである『社会保障関係費』です。私は自分の立場から、ついついまず文教費に目が行ってしまいましたが、一般歳出の50パーセントを超えている『社会保障関係費』の意味を考えました。私たちは病気になれば、保険証を持って病院へ行き、医療費の一部を払って診てもらうことができます。
長く難病を患っていた祖父も大変この恩恵を受けていたことを改めて知りました。高額医療の補助を受けたり、介護保険により、不自由ではあったでしょうが、最期まで自宅で生活をすることができました。国民が納めた税金をどのように分配するのか足りないお金をどうするか、今まで気にも留めたことがありませんでした。私の月2000円のお小遣いをどう使おうか?とひとり悩んでいるのとは次元の違う話です。

安心して学校へ毎日通えるのも、病院へ行けるのも、人間らしく最期を迎えられるのもすべて納められた税金のおかげです。もっと○○の予算を増やしてほしい、と言うのは簡単なことですが、今の日本が抱える問題は山積みで、かつそれらが複雑に入り組んでいます。納税の意義、分配する政府の責任の重大さを認識するとともに、今、私ができることは何だろうか。

「足るを知りなさい」

と祖母は時々言います。無いことを嘆くだけでなく、有るもの、有ることに感謝しなさい、という意味だと思います。自分の豊かな暮らしを追い求めるのだけでなく、互いを理解し受け入れ、社会全体の助け合いのしくみを支えていく、それが国民に求められているのだと思います。

今はしっかり勉強をして、将来誇りを持って税金が納められる大人になりたいと思います。

増税は何のため

小菅葉月(兵庫・神戸海星女子学院中学校)

七月十日に選挙権年齢が「十八歳以上」に引き下げられて初の国政選挙が行われた。そして三年後、私が「十八歳」になった年の十月には消費税が十パーセントになる。その年に行われる参院選に投票しに行く気満々の私だが、今の私の浅はかな税金の知識のままでは国政を担う代表者を選ぶことなどできないので、私は税金について学びたいと思った。

そこで私は図書館に行き、面白くて分かりやすそうな税金に関する本を数冊借りてきた。早速、税金の恩恵を感じる。パラパラと読んでいく中で私の目にとまったのは、政府が税金などの収入を得て、様々な用途に支出していく活動である、財政についてだ。ここで私は主に三つの役割があるということを知った。一つ、社会資本を整備し、公共サービスを提供する。二つ、所得の差を縮める。三つ、景気を安定させる。三つ目は具体的にどのようにするのだろう。「不景気のときに減税を行ったり公共事業を増やしたりして、景気を安定させるための政策(財政政策)を行う。」と書いてある。私はここで疑問が湧いた。不景気だと言う人も多い中、安倍首相はどうして増税するのだろうか。理由は財務省のホームページで簡単に見つかった。「少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、高齢者は増えている。社会保険料など、一層現役世代に負担が集中することとならないためには、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられるため。」といった内容である。また、日本は全国でも群を抜いて債務残高が高いことが多くの本で述べられていた。

高齢化のために社会保障は増え続けていて、しかも国債を返済しなければならない。増税も無理はないのかもしれない。ここで所得税や法人税などを増税してしまうと、私の父などの現役世代にもう既に高まっている負担がさらに集中してしまう。高齢者も含めて国民全体で広く負担する消費税の増税は、所得高によって負担が変わるとはいえ、所得税や法人税の増税に比べたら、私は公平である気がする。また、国債は国の信用を左右する。その返済のための増税なら、日本の国力を上げるための投資だと思っていいのかもしれない。

税金に興味を持って調べることで、増税がなぜ行われるかを知ることが出来た。日本の未来のために増税は欠かせないものだと私なりに納得することもできた。

アメリカでは、こんな言い回しがあるらしい。「人間、一生で避けられない物が二つある。死と税金。」そんな税金なのだから、私は、賢い有権者となるためにも、これからも税金に関心を持ち続けていたい。

税がくれた学びの場

前山由紀美(広島・広島市立井口台中学校)

今年の四月、担任の先生は、私たちにおっしゃった。

「学校で過ごす時間を大切にしてね。義務教育を受けることができる、最後の一年だから。」

ざわついていた教室は、一瞬にして静まった。初めて言われた、「義務教育、最後の一年」という言葉にどこか寂しさを覚えた。同時に、自分は学校が好きなのだ、と気づく。心の通う友達、高め合えるライバル、尊敬する先生方、そして立派な校舎。私にとって、掛けがえのない学びの場だ。

そんな、私の通う学校で、先月「租税教室」というものが行われた。税というと、まず第一に思い浮かんでくるのは消費税だ。8%に引き上げられたのは、二〇一四年四月一日。私が中学生になろうとしていたときだった。消費税が高くなる前に、制服や通学カバンを購入しておこうという母親たちの動きがあった。税金について初めて感想を持ったのはこのときだ。「なぜ、税金なんか払わないといけないんだろう」という感想を…。

しかし、たった一時間の「租税教室」で、この思いはくつがえされた。中学生一人に対し、一カ月で約八万二千円の税金が教育のために使われていること。さらに、義務教育九年間で、一人あたり一千万円以上が税金によって賄われていること。初めて知る税金のゆくえに、何度も息を呑んだ。私たちの学びは、税金によって支えられているのだ――私があんな感想を持ってしまっていた税金によって。

義務教育、九年間。今まで、用意されていた道を進んできたが、来年の春から歩む道は、自分でつくっていかなければならない。勉強に疲れ、教科書をパタンと閉じてしまうとき、いつも裏表紙に書かれている言葉が目にとまる。

「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待を込め、税金によって無償で支給されています。」

この言葉に、ぐっと胸が熱くなるたび、あきらめずに励もうと思うことができる。だからこそもっとはやく知っておきたかった…税金によって学ぶことができる、という日常へのありがたみを。

私は将来、学校という最高の学びの場で、教師になりたい。中学校に入学したときの私のように、「なぜ税金なんてあるのか」と感じている子どもたちに、一刻も早く伝えたいことがあるから。

“税金”で命をつなぐ

大本泉(徳島・徳島文理中学校)

昨年末、祖母は突然、旅立った。あの日からやがて八か月が経とうとしているが、祖母の死をなかなか受け入れることのできない、毎日である。

八十一歳の祖母は、いつも元気であった。高齢のため、少しずつ足腰が弱ってはいたが、出掛けることは好きだった。しかし、大変残念なことに、急に体調を崩し、救急車で住み慣れた家を後にした。祖母にとって、そして私たち家族にとって、ありえない最後の“出掛ける”ことであった。

救急車でまず近くの病院に搬送され、重篤な状態であったため再度、救急車で救命センターに運ばれた。緊急手術のかいなく、優しい微笑みを残して、逝ってしまった。

祖母が亡くなり、悲しみをこらえて、母は祖母がお世話になった病院やデイサービス、介護タクシー等の支払いに行っていた。いくつか支払いを済ませた母に
「救急車に、二回もお世話になったのに、支払って来なくてもいいの。」
と、たずねた。すると母は

「救急車は、有難いことに、無料で利用できるの。それは、税金のおかげよ。」
と、教えてくれた。私はこの母の言葉に、ハッと息を飲むほど驚き、そして、救急車にお世話になったことに対し、感謝の気持ちで、胸がいっぱいになった。

外国では、救急車は有料で大変高額であるそうだ。しかし、日本では救急車の費用は、自治体が負担していることを知った。全国的に一回、救急車が出動すると約四万五千円の費用がかかることが、調べて分かったことである。これらの費用が、税金で賄われているということは、私たちの“命”を税金が守ってくれているように思った。

そして、祖母が亡くなってから六か月余り経った頃、「後期高齢者医療給付支給決定通知書」というハガキが届いた。これは、祖母が救命センターで手術や治療等をしてもらい病院で支払った医療費に対し“高額療費”と認められた分が、母の銀行口座に振り込まれたということだ。亡くなった後でも、このように税金をもとにした制度で遺族に支払われることに、改めて“税金”の大切さを知った。

このように、私はかけがえのない大切な家族を突然亡くすという経験をし、悲しみの渦に巻かれたような気持ちになったが“税金”に対して、新たな発見があり、その重みを知った。今でも、救急車のサイレンを聞くと、祖母のことを思い出し、胸がいっぱいになる。それと同時に、税金で助かる命がありますように・・と、祈る思いで救急車を見る。

私も将来、働いて税金を納める立場になるが、納めるだけでなく、税金の大切さを正しく伝えていける社会人になりたい。そうすることが、安定した、幸せな日本の基盤となり、世界になることだろう。命を守るためにも。

「税金」と「家族」

是木愛海(福岡・吉富町外一市中学校組合立吉富中学校)

私は今まで、「税金」は大人が払うもので、子どもにはあまり関係ないものだと思っていましたが、国税庁のパンフレットを見て、中学生一人当たりに、年間約百万弱もの税金が使われていたことを知り、とても驚き、私には関係ないものだとは思えなくなりました。そして、もっと税金のことをよく知りたいと思いました。

税金って何だろうと考えて、まず初めに思いついたことは、お金を払わなければいけないという嫌なイメージでした。次に、税金は私達が安全に安心して暮らせるように支えてくれている大事なもの、そして、税金が無くなると、救急車、ゴミ処理、教科書などが有料化になり医療費などの社会保障費や、公共サービスが受けられなくなるということがわかりました。

こんなふうに、嫌な所、良い所、無くては困ることを考えていると、「税金」というものが「家族」と似ている気がしてきました。

「家族」は、たまに口うるさいと思うこともあるけれど、一緒に泣いて、笑って、ときには強く叱ってくれたり、どんなときでも、側にいて、見守り、励まし、応援してくれている存在です。そして、家族がもし無くなってしまうと、日常生活も学校生活も、今のようには行えなくなります。

「税金」を管理する国税庁は、私達の暮らしを支えるため、税金の期限内収納を確保するためや、滞納を未然に防ぐために、広報や納付指導をしたり、納税者個々の実情を踏まえながら滞納整理を実施したりして、滞納残高を、平成十年度のピーク時より、十七年連続減少という状況を保っています。

「家族」は、「体調はどう?」「宿題はすんだ?」など声かけをしてくれ、日常生活をいつも気にかけてくれて、うっかり忘れそうになった提出物を思い出すことがあります。そうして、精神的にも身体的にも、落ち着いた状態で学校生活や部活、遊びが充実したものになるようにしてくれています。

すごくよく似た特徴を持つこの二つは、私にとって、とても大切なものであるということがわかりました。

それと同時に、私は「税金」や「家族」の当たり前の存在に甘えすぎていたことに気がつきました。今まで、当たり前にあったことが無くなるととても困ります。「だから大切にしなければいけない」というのも少し違うような気がします。「税金」も「家族」も、私には何の見返りも期待せずに、私を守るために存在している、当たり前のようで当たり前ではないことに気がつき、感謝することが大切だと思います。だから私は、そんな「税金」と「家族」を、今の何倍も大切にできる大人になりたいです。

税が育むみんなの未来

八木沙悠(鹿児島・和泊町立和泊中学校)

「ワランチャドゥ島ぬ宝」私の住む沖永良部島や奄美群島では、子は宝として大切に育てられている。沖永良部島は、出生率が徳之島に続き四位だそうだ。このように、離島は子どもを出産し、育てやすいというイメージがある。私の友だちにも五人から七人の兄弟がいて、いつも賑やかで楽しそうだ。

しかし、中学生になり、進路のことや将来の夢のことを友達と話す度に、離島ならではの課題も大きいことを感じる。それは、兄弟が多いが故に、一家庭の収入に対して、一人当たりの教育費が大きくなりすぎてしまうということである。

私は、教員をしている伯母と一緒に沖永良部島に転校してきた。実家は鹿児島市にあるため、帰省に飛行機や船を利用することが多い。しかし、大人料金になった私たちの運賃は、冷や汗が出るほどに高額である。そのため、帰省するのにも勇気がいる。それは、私だけではないことが、部活を始めて分かった。島外での大会の参加費が、鹿児島市では考えられないほどの金額になってしまうため、参加できない人も少なくないのだ。そんな中、島民の想いを救う画期的な対策が打ち出された。それが、平成二十六年度から始まった、「奄美群島振興交付金事業」の中の「離島航路補助事業」である。町民は、離島割引カードを交付してもらうことで、以前よりかなり負担が軽減された。このおかげで、離島間や本土との行き来が、ぐっとしやすくなった。しかし、この事業も平成三十年で打ち切られると聞いた。その後はどうなるのだろう。

今年受験生になってみて、進学も本土とは条件が違うことを知った。本土では、ほとんどの高校生が、自宅から通学している。しかし、離島の場合、夢を叶えるために高校から島を離れなくてはならない人も少なくない。その場合、学費や寮費など、かなりの金額がかかると聞く。そのため子どもが多い離島では夢をあきらめなければいけなくなることもあるということだ。そういう話を聞く度に、同じ受験生として胸が締め付けられるような思いがする。

どうすれば、子どもたちが夢を持ち、それを実現するために本土と変わらない教育を受けることができるようになるのだろう。

私も私の友だちも沖永良部島が大好きだ。高校や大学は島を離れなくてはならないとしても、いつか立派な社会人として島に帰ってきて、島の発展のために働きたいと話している。そして、大好きなこの島で家庭を持ち、今度は自分が親として子どもを産み、育てたいと願っている。

そのためには、まずは自分が社会人となり、しっかりと税金を納め、納税者として、島の子どもたちのため、そして島の発展のために、税金の使い道について、地域の声を発信していきたいと思っている。

感謝の気持ちを忘れずに

赤嶺真菜(沖縄・竹富町立大原中学校)

私達の大原中学校は、校舎改築が終わり、夏休み前に一人一人自分の机を持って、新しい教室に移動することができました。

新しい校舎は、プレハブ校舎とは大違いで教室もとても広々としています。各学年の教室は2階にあり、そこから広がる景色は海が一望できて、すごくきれいです。屋上もあり、津波の時の避難場所に使われるそうです。こんな立派な校舎、本当にありがたいと思います。なんと費用は、約四億四千万円以上かかっているそうです。想像できないくらいあまりにも大きなお金で、驚きました。それは、全部税金で作られているそうです。

税金とは、国民が国または地方公共団体に租税として納付する金銭のことで、色々な種類があります。使われ道も社会保障、公共事業、教育や科学、防衛などと数多くあります。

私達は、その税金として集めたお金で、塾とは違ってお金を払っていないのに、先生方に勉強を教えてもらうことができるし、教科書も毎年無料でもらえるし、図書館の本も無料で借りることができます。学校にある備品も全部税金で揃えてもらっているものだそうです。あたり前に生活している中で、特に学校は、ほとんどが税金にお世話になっているということに新しい校舎で過ごしながら改めて、気づきました。

昨年の十二月に合唱の代表として、県の発表会に参加した時も町からの補助金で大原中学校全員で参加させてもらいました。また、私が昨年度から受講している東大生とテレビ通信を使ってのICTの塾も無料で受けさせてもらっています。

このように、離島に住む私達にもできるだけ平等に色々な学ぶチャンスがあるようにと応援してもらえる税金は、本当にありがたいなと思います。

ジャイカで西表島を訪れた外国の方が、離島の隅々まで教育が平等に行き届いている日本の国は、すばらしいと驚いて視察して帰ったと聞きました。見回してみると、当たり前に使っている道路、公園、病院、図書館などの公のものは、平等な幸せのためにみんなの支払った税金で作られているのです。

税金というと、何か堅いイメージで私の生活と身近に感じられませんでした。税金が多くの生活に関係してくる事を改めて知り、その大切さを実感できた今、使い道を無駄づかいせずみんな平等で幸せのために使ってほしいという願いが強くなりました。消費税が八%から十%に上がるかもしれないというニュースを聞いてもピンときませんでしたが、これからは、税金の中身や使い方についてもう少し勉強していきたいなと思います。新しい校舎にもこれまで以上に感謝して大切に使っていきたいです。