教えて税理士のリアル
税理士の仕事のやりがいや、税理士に向いているタイプなど、若手と言われる皆さんに率直な想いや考えを語っていただきました。想像とは違った、意外な姿が見えてくるかも。
太田勇輝
太田勇輝 開業税理士 東京税理士会2014年登録
ー税理士を目指したきっかけや、その理由を教えてください。
太田:数学が好きだったことから、会計の専門学校へ進学しました。取れる資格の中でも、科目合格制の税理士試験なら途中でやめても実績として残り、またいつでもチャレンジができると思い選択し、今に至ります。

綱川:私は、母が税理士で日頃からお客さまに感謝されている様子を見ていて、経営者の方々をサポートし感謝される仕事っていいなと思っていました。一度は一般企業に就職しましたが、私の理想とする働き方はこっちだと舵を切りました。

國分:大学3年の夏、Uターンしたいこと、経済的に困らないこと、親孝行したいこと、この3つの条件で進路を考えたら税理士が当てはまりました。僕の父も税理士ですが、当時は何も思っていなかったのに気づいたら同じ道を選択していましたね。

笠原:私の父も税理士です。子どもの頃、兄が継がないと言ったため、親を喜ばせたかった私は「税理士になる」と言ってしまいました。15歳の時です。その後の勉強が大変で、後々後悔しました(笑)
網川仁美
網川仁美 所属税理士 関東信越税理士会2020年登録
ー実際に税理士になられてみていかがでしょう。どんな時にやりがいを感じますか?
綱川:年齢や性別に影響されることなく、信頼関係を築くことができる点にやりがいを感じています。この年齢で自分の親やおじいちゃん世代の経営者の方とも対等に話をし、頼りにされる仕事はなかなかないのではないでしょうか。

太田:やっぱりお客さまから「ありがとう」と言われるのは嬉しいですね。ご相談から申告まで、丸一年を費やした案件がありました。判例を徹底的に調べ、資料を収集し、何度も何度も申告書を書き直しました。決して安くない報酬でしたが、値引き交渉などもなく感謝された時は、表に出ない努力も認められた気がしました。

笠原:会社の成り立ちや苦労話、業界の話など知らない世界を知ることができるのは興味深いですよね。多種多様な業種の方と関われますが、その分多種多様な知識も必要となります。日々勉強です。

國分:ほんとですね。頑張って試験に合格して資格を取ってしまえば、もう勉強しなくていいと思っていたのに(笑)税制改正は毎年行われますし、情勢も日々変わります。勉強ができる人より、継続的に学び努力できる人が向いているのではないでしょうか。
國分智弘
國分智弘 所属税理士 沖縄税理士会2023年登録
ー他にも税理士に向いているタイプや、必要な資質はなんだと思いますか?
國分:社会人として基本的なことですが「期限を守る」ことも大切ですね。申告書の提出期限や税金の納付期限など、毎月何かしらの期限に追われていますから。

笠原:机上の数字や資料のみでできる仕事ではありませんので、コミュニケーションを取ることが得意だとより良いと思います。でも話し上手である必要はありません。お客さまの課題や不安を聞き出し、適した提案を筋道立てて説明できれば良いのです。

太田:私は、向いているタイプは2つあると思っていて、経営者のサポートに徹して、時に右腕として手腕を振るう「参謀タイプ」と、誰かと組むことを前提に課題解決に淡々と取り組む「職人タイプ」です。

綱川:コミュニケーションといえば確かにそうですね。税理士は一人で淡々と、というイメージがあるかも知れませんが、お客さまの多様な課題に応えるには、他の税理士や、他士業の方に相談したりと意外と横のつながりも多いんですよ。
笠原奈美子
笠原奈美子 開業税理士 東京地方税理士2004年登録
ー若い世代の方が、税理士を目指すメリットはなんだと思いますか?
綱川:一般企業だと3~4年で部署が変わることが多く、一から新しく仕事を覚えたり人間関係を作ったり大変じゃないですか。税理士の場合はお客さまと10~20年来のお付き合いになることが普通です。その方が私にとってはストレスがありません。会社のことだけでなく、まるで人生のサポーターとしてお客さまに寄り添えることが何より嬉しいです。

國分:僕のお客さまには、20~30代の経営者が多いのですが、同年代の税理士を求める方も多いです。働き方が多様化する現代で、若い世代の感覚や時代を読む力が必要とされていると感じますし、それは税理士業界でも同じではないでしょうか。それに、28歳で若手と言われて可愛がられ応援してもらえる環境は、この業界だけです(笑)

太田:45歳まで青年部ですからね(笑)60代以上の方もバリバリ現役ですから。それほど長く輝ける仕事だと思います。それに、受験資格要件が緩和されたことで、どんな学部を選択していても税理士を目指すことができるのは大きいのではないでしょうか。

笠原:もう数年後には、私たちより年上の世代が大勢卒業されてしまいますから、税理士の受け皿を減らさないよう、次世代の若い力に期待しています!
にちぜいくん