中学生の「税についての作文」

中学生の「税についての作文」は、全国納税貯蓄組合連合会と国税庁が租税教育事業の一環として、全国の中学生の皆様を対象に昭和42年から実施しているものです。日本税理士会連合会では、平成15年度からこの事業を後援しています。
詳しくは、国税庁ホームページをご覧ください。

平成30年度は、7,511校から593,795通の応募があり、以下の12名が日本税理士会連合会会長賞に選ばれました。(順不同・敬称略)
なお、作文は原文のまま掲載しています。

日本を支える税

松浦紗月(北海道・旭川市立永山南中学校)

「危ないから逃げて!!」濁流が町に押し寄せる映像とともにそう叫ぶ声がテレビから聞こえてきました。これは今年の七月に起きた、いわゆる「西日本豪雨」のニュースでした。私は声も出ず、ただテレビを見ていただけでしたが、町全体が濁流にのまれ、何もかもが茶色の水に浸っていた様子は、あの東日本大震災の津波をも思い起こさせる程、悲惨でした。
 この西日本豪雨による被災地での死者数は二百人以上になりました。また何千人もの人が避難所生活を余儀なくされました。そこで、総務省は被災地に対し普通交付税から約三百四十六億円を前倒しで配分すると発表しました。普通交付税は、地方税などの収入でまかなうことのできない財源の不足分を補填するための税であり、政府は、災害対応や復旧工事に支障が生じないよう、前倒しで配分したのです。この「災害対応」の中には、避難所での炊き出しや給水車のための費用なども含まれていたでしょう。これらは避難所で生活する人達の心の支えに、少しでもなったに違いありません。ニュースで見た、炊き出しを見て自然とこぼれたあの被災者達のつかの間の笑顔は、私の心に強く残っています。
 このことは、私達に全く関係のないことではありません。災害はいつ、どこで起こるかわかりません。よって、私達はいつ避難所生活を送ることになってもおかしくないのです。もしも避難所生活になった場合、税は私達の生活の助けになるのです。
 例として、東日本大震災での税金の使われ方をみると、仮設住宅の設置やがれきの撤去をはじめ、学校や市役所などの建て直し、失業者や高齢者への生活保護費の支援や福祉サービスなどにも税金が利用されていることがわかります。日本は自然災害が多い国ですが、その壁を何度も乗り越え、ここまで発展し続けることができた理由の一つに、税があるのではないでしょうか。税は、私達の生活だけでなく、日本の社会全体も支えているのです。
 「税金など払いたくない。」とか「なぜ税金を払わなくてはいけないのだ。」など税金に対して否定的な考えを持つ人もいるでしょう。しかし!私達が払う税金で、私達は今様々なサービスを受けることができています。このような事実を、国民一人一人が再認識するべきです。「税」と「サービス」この双方向の関わりで現在の社会が成り立っていることを心に置き、税を身近に感じ、税を肯定的に考えることが大切だと思います。このような考えを一人一人が持つことで、日本の社会はより一層充実していくのではないでしょうか。

「ゼイ」沢

目黒恭涼(福島・白河市立白河第二中学校)

 七年前、僕の目の前に広がった異様な光景。崩れ落ちた建物、ねじ曲がった道路、品物がないコンビニエンスストア…。当時七歳だった僕の脳裏に焼きついた衝撃は、今も鮮明によみがえる。しかし、今の僕の周りには、つい七年前に未曾有の被害を受けたとは想像できない、平和で美しい世界が広がっている。ともすると、七年前のあの光景を忘れてしまいそうになるほどだ。僕が住む福島県がここまで復興することができたのは、たくさんの義援金、述べ二十万人ものボランティアの方々の力、そして、税金のおかげである。
 東日本大震災は、「激甚災害」に指定された。「激甚災害」に指定されると、災害復旧事業の補助率が何割か上がるそうだ。この仕組みを行うにあたって使われている財源はどこにあるのかと考えてみると、税金であることに辿り着く。例えば、僕自身がコンビニエンスストアで飲み物やお菓子を買うなどするだけで、「消費税」という税金を払うことになる。その税金が被災地の補助に使われ、復興を早めることにつながっていたのかもしれない。そう考えると、自分も災害復旧に一躍買っていたのだと、なんだか少し嬉しく感じた。またそれは、同じような仕組みで、日本国中の人々が税の力で僕達を助けてくれていたのだということでもあり、そう思うと、ありがたさとともに、自分一人だけで困難に立ち向かわなくてよいのだという心強さも感じられた。
 そもそも、税の歴史を辿ってみると、人が集団で共同体となって生活するようになった古墳時代からあったようだ。それは、大昔の人々も、自分一人の力で生きていくよりも互いに助け合った方が生きやすいと感じたからだろう。現代では、「なぜこんなに税金を払わなければならないのか。」と不満を漏らす人もいるが、これは自分が税金を取られるという一面だけを見ているのであって、他の人が払っている税金に助けられて自分もよりよい生活ができているという事実、つまり、税のそもそもの成り立ちを考えれば、自分の負担に対する味方も少し変わるのではないか。
 実際のところ、日本の税の負担率は、世界の諸外国と比べて低い。しかし、負担率の高い国は、その分、社会福祉が充実している。「助け合い」の実現と自己の負担過重を考えると、どちらがよいとは一概にはいえない。大切なのは、「自分の払った税が誰かの役に立ち、誰かの払った税が自分のためになっている」ことを共通理解することと、「より効果があり、かつ無駄のない税金の使い道」をみんなで真剣に考えていくことだと僕は思う。
 僕もまもなく大人の仲間入りをする。大人になって収入を得るようになれば、今以上に税との関わりが深くなる。その時には、ただ義務として税を収めるのではなく、税を通して他者や社会とつながっているという思いを持ち、自分事として真剣に税の使い方を考えながら、社会の一員として生活していきたい。

素敵な納税

山岡真緒(茨城・私立霞ヶ浦高等学校附属中学校)

 一歩踏み込めば、そこは活字の楽園。静寂を破らぬよう、ローファーの足をゆっくりと下ろす。数えきれない程の本を湛えたこの空間で、一冊一冊が息をしている。集中して勉強したい時、知りたいことがある時、日曜の午後、私はよく図書館へ行く。
 利用するのに、お金は不要である。税金が使われているから…だと思う。この作文を書くまで、私は利用者でありながらしっかり理解していなかったのだ。考えてみれば、あれだけの本に机と椅子、働いている司書さん達のお給料等、沢山お金がかかる。
 調べてみると、やはり税金との繋がりがあった。市民税、地方税、国や県からの補助金などがあるようだ。これらは、多くの人々が負担してくれたお金である。気軽に利用している場所。私が想像できないくらいの協力があって成り立っているのだ。そして、それは図書館だけではない。消防署に警察署、道路や浄水場や公園、公共のサービス。私自身も支えられて生きてきた。皆が豊かな暮らしをするのに欠かせないものなのだ。税金が回っていなければ、病気も治せないし、災害に遭ってもどうすることもできない。私の好きな遺跡などの美しい景観だって、維持されなくなってしまう。税の種類は約五十種類ほどあり、どれも大事なものだ。普通の日常は、税金があるから存在している。お互いが気持ちの良い生活をする為に、税金というツールを使って協力し合っているように思えた。
 そこで疑問が生まれた。私は中学生だ。消費税の他には税を納めていない。では、このツールを使いこなすことは出来ないのだろうか。買い物以外の協力は出来ないのだろうか。
 今だったら分かる。私には、「理解する」という協力が出来るのだ。図書館というきっかけから調べていったから、税金についての意識が変わった。どんな税金が、何に使われているのかを少しだけでも理解する。この作文を書き始める前は堅苦しいものだと思っていたけれど、調べて、自分なりに考えてみて、豊かな生活の為の温かい連携だと気付くことが出来た。社会人になった時、税金に関しての理解があれば、「協力し合っている」という認識で、素敵な納税が出来るのではないだろうか。

税への恩返し

櫻井唯(山梨・山梨市立山梨北中学校)

昨今の酷暑は著しい。猛暑日、熱帯夜が毎日のように続き、「最高気温の記録更新」というような話題も尽きない。そのため、起きているだけでもげんなりしてしまうどころか、眠りにつくことさえも容易ではない。しかし私は、学校に行くことでその暑さから解放されることができる。
 数年前、私達の市では小中学校のエアコン設置率が百パーセントになった。それまでの私は、何秒かに一度回ってくる天井の扇風機にばかり気を取られながら授業を受けていた。だが、エアコンの設置によって私達の授業中の快適さは格段に上がったのだった。
 先日、学校で租税教室が行われた。そこでは、私達の生活と税の関わりについて学んだが、私が最も驚いたのは国や県の支出入の内訳だ。借金が明らかに多い。借金をしているということは以前から知っていたが、これほどまでの額とは知らなかった。これは、一つの家庭に例えると破産レベルだそうだ。それを聞いて私はとても恐ろしくなった。
 しかし、日本はなぜ財政破綻しないのだろうか。なぜお金を貸し続けてもらえるのだろうか。様々な理由があるが、日本にはとても高い技術があり、世界から信頼されているということもそのうちの一つだというらしい。私は、その高い技術力をこれからもさらに発展させていくためには教育が必要だと思う。
 実際に、今日私達の学びのためにとても多くの税金が使われている。教科書に机や椅子、実験器具など、これらは全て税金でまかなわれているものだ。教室のエアコンだって同じだ。夏の炎天下の中、冬の凍える寒さの中、屋外で働いている人もたくさんいるのに、私は快適な温度の中で勉強することができているのだ。中学生一人当たりの、税金でまかなわれている教育費は年間で百万円以上にもなるという。私にとってこの金額は想像もつかないほど大きいものである。
 私は今まで、勉強するのもしないのも自分の勝手だと思っていた。しかしそれは違う。私達の学びのために、顔も見たこともないような人達が一生懸命働いて得たお金が使われている。たくさんの人達の大きな期待が込められているのだ。だから私は今、自分が学べる幸せに心から感謝する。そして、日本の未来のために精一杯勉強に励もうと思う。
 成人年齢が十八歳以上に引き下げられ、税金を払い始める年齢も低くなる。このことを知った当初は、自分のお金がなくなってしまうと思い、不満を感じていた。しかし、税があるおかげで私達の生活は、互いに助け合い、豊かに生きていけるようになっていることが分かり、税金を払うことに対する気持ちが明るくなった。私はこの気持ちを忘れずに、たくさんの人達からの税への恩返しができるように、一生懸命生きていく。

より良い社会のための税

中西野々香(石川・能美市立根上中学校)

 税金はなくてはならないものです。学校で使う教科書も税金から出ているし、能美市では高校生以下の医療費も税金で支払われています。大災害の復興支援金も税金があるからできることです。
 しかし、税金は「納める」よりも「取られる」というマイナスイメージをもつ人が多いのも事実です。「税」を国語辞典で調べると、「昔、統治者が人民から取り立てた穀物・布・金銭。年貢。今は、国家や地方公共団体が国民から強制的に徴収する金銭。」と、ありました。「年貢」や「強制的」という言葉からは良い印象を受けません。
 では、現代の〝税〟と江戸時代の〝年貢〟は同じと考えていいのでしょうか。年貢は農民が領主に米を納め、それを藩が商人に売ってお金に換え、藩の財政に使うものです。これは、武士のために使われるお金であって、納める農民に直接利益はありません。それに対して税は、最初に書いたように、私たちが生活する上でとても役立っています。それなのに、税に対するマイナスイメージが強いのです。
 一方北欧では、税率が20%以上と、とても高いのに、国民は充実した生活を送り、不満をあまり感じていないように思われます。それは、学校や病院が無料であるなど、福祉が充実していて、それを支えているのが税だということを国民が理解しているからだと思います。日本で税に対するイメージが悪いのは、自分たちに利益が還ってきている実感がないからではないでしょうか。税がどのように使われているかわからないので、一方的に取られているような感覚になっているのだと思います。
 なので政府は、もっと税金がどんなふうに使われているか、国民に発信する必要があると思います。国民も、自分たちが納めた税金がどのように使われているのかを、チェックするべきです。自分が働いて得た大切なお金から払うものなので、当然適正に使われるべきだし、また、使われ方に納得していないと、いつまでも不満が残って、豊かな心で生活できないからです。
 しかし、充実しているように見える北欧にも問題があります。高い税金に耐えかねて、国外に出てしまう若者もいて、さらに高齢化が進む一因となっているそうです。また、失業保険などの保障が充実しているので、仕事に就かなくても生活できてしまい、働かない人が増えています。そうなると、税収も減るし、高い税金を納めている人との不公平感も大きくなります。高すぎる税率も、行きすぎた社会保障も、どちらも問題なのです。私達も、税と福祉のちょうどいいバランスを考えていかなければなりません。
 これから私達は、税を納める立場になります。今後も、税について関心を持ち続け、より良い社会の実現に向けて努力したいです。

「学べる」こと

中村子宵(静岡・河津町立河津中学校)

 私の家は食堂です。両親は自営業で食堂を経営しています。だから私は大人の仕事がどれだけ大変か見てきました。特に休みの日の昼食の時間は忙しいです。お客さんのご飯を作るために自分たちの昼食を食べるのが三時、四時になることもあります。また、お客さんが残した物を見て悲しい気持ちになったり、忙しさのあまりミスをしてしまうこともあります。他にも大変な事が多くあります。私はそんな親の姿を見て、お金をかせぐというのはとても大変な事なんだと感じました。もちろん大変な事ばかりではなく、嬉しい事もたくさんあります。でもそれを含めてお金をかせぐのは大変な事だと思います。
 日本には勤労の義務というものがあります。これは義務と同時に権利でもあると教科書に書いてありました。働いている人の多くは仕事が楽しいと感じることもあれば大変だ、つらいと感じることもあると思います。中には簡単にお金をかせげる人もいるかもしれません。でもほとんどの人が苦労してやっとお金がかせげるのだと思います。
 そうやってかせいだお金の一部が税金になります。私が一番身近に感じている消費税も親からもらったおこづかいで払っているので結局は大人がかせいだお金です。
 私たちに一番近い税の使い道は何だろうと考えた時、それは学校で使う教科書だと思います。私の社会の教科書の裏には「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」と書いてありました。義務教育の九年間、私たちはどんな家庭の事情を抱えていても、お金がなくても「学ぶ」ことが出来ます。それは私たちにとって最高の税の使い道、プレゼントだと思います。
 世界には学びたくても学べない、生活するのも生きるのもやっとな人々、子供がいます。私たちは本当に恵まれています。それは私たちの周りにあふれる税によって支えられているのかも知れません。私は学校で学ぶことによって夢ができました。それもまた税金によって支えられているのです。
 大人の人が苦労してかせいだお金の一部、税金。私の一番身近な消費税。私たちに「学ぶ」権利をくれる税金。子供たちの夢を生み、育ててくれる税金。私は税金に感謝して、まずは教科書を大切に使おうと思います。そしてこの「学ぶ」チャンスを活かし、夢をかなえ、いつかは大人になった立場から税金を納めて子供に「学ぶ」チャンスをプレゼントしたいです。

未来を応援するぜい(税)

提坂瑚々(兵庫・姫路市立豊富中学校)

 私は昨年の夏、姫路市の親善大使に応募した。姫路市には海外に6つの姉妹都市と1つの姉妹城がある。毎年、夏休みの期間を利用して市内の中高生が親善大使として派遣され、各姉妹都市の一般家庭でホームステイをしながら、現地の人々と異文化交流体験できる。私は夏休みの派遣に向けて4月に説明会と選考面接試験を受け、晴れて9人のメンバーと一緒に韓国・昌原市の派遣生に選ばれた。
 5月からは派遣生としての心構えや韓国語、異文化等について事前研修を受講したり、派遣先で披露するプレゼンテーションやパフォーマンスの練習に取り組んだ。姫路市の文化国際交流財団の職員の方々がこれらの研修や練習を指導して下さった。職員の方は本番の派遣にも同行して下さったので私は安心して親善大使の活動に臨むことが出来た。
 一週間のホームステイでは刺激を受け、とても有意義な時間を過ごせた。秋にはどんな体験をし、何を学んできたのかを報告する会も催された。参加者、一人一人のプレゼンの為に職員の方が何度も練習に付き合って下さるなど会の成功の為に奔走して下さった。
 姫路市の未来を担う中高生の為に市は1980年にアメリカ・フェニックス市に10名の高校生を派遣して以来、この交流活動を続けている。私は学校で応募用紙をもらうまで、市がこのような事業を行っている事を全く知らなかった。毎年、30名以上の中高生を派遣する為に財団が骨を折って下さる。姉妹都市との連絡、調整、手配など全て職員の皆さんがお膳立てして下さるので生徒や保護者は心配なく申し込める。費用の助成もある。つまり、税金が私たち若者の未来を応援する活動に使われている。姫路から世界へ、羽ばたくきっかけを後押ししている事を、私は親善大使の活動を通して知ることができた。
 他にも税金を使った事業として、例えば、ごみ処理場、浄化水場など暮らしを快適にする設備の整備や生活や安全を守る社会保障、災害救助などがある。更に、図書館や美術館などの文化施設、小中高等学校などの教育事業に税金は使われている。大切な税金の使い道は色々とあり、財源も限られている。その制限の中で、市は私たち若者の未来へ税金を投資してくれている。
 私は姉妹都市交流に参加し、異文化を自分の五感で感じた。日本と韓国の違いも実感した。世界には自分の知らない事がたくさんある。自分の常識が通用しない事もある。自分と他者、自国と世界の違いを認識し、世界で生きる国際人になりたい。私にそう考えるきっかけを与えてくれた姫路市の派遣交流プログラムに感謝している。私たちの未来を応援する為に税金を充ててくれていることに感謝。姫路市の海外派遣活動が今後、益々、充実した内容になることを心から祈っている。

未来を見据える

河村七恵(山口・光市立島田中学校)

 私は、今年起きた「平成三十年七月豪雨」の事を調べていた時、東日本大震災の復興にも多くの税金が使われている事を知った。税金は、壊れた道路やがれきの撤去、他にもさまざまな復興事業に使われている。そこで私は、どんな事に税金が使われているのか、もっと詳しく知りたくなった。
 夏休み中のある日、私はコンビニエンスストアにアイスを買いに行った。すると、消費税でお金が少し足りなかった。だからその日は、アイスを買うのをあきらめた。私は、消費税がなかったらなと思った。何のために、誰のために納めているのかも分からない税金に、私はあまり興味がなかったし、納める意味さえ考えたこともなかった。
 しかし、何となく知らない間に納めてきていた税金が、東日本大震災や今回の豪雨の復興に使われていると知った。税金の使われ方には様々な方法があるが、その中でも私は、学校と仮設住宅の建築に使われている事にとても興味を持った。
 私が、災害を受けた学校の建築や修繕に関心を持った理由は、震災直後ニュースで学校に行けない私と同じような年代の児童、生徒がいると知ったからだ。勉強したくても場所がない、学校で友達と話したり、遊んだりしたくても出来ない。私は、小学生の時も今も、学校のことばかり考えているし、長い休みがあると早く会いたいなと思う。それが、私たち世代にとっての日常だが、被災地ではその日常すら我慢しなければならない。その日常を取り戻す手助けが、税金というシステムでされていると思うと、税金に対してのイメージを変えた。誰しも家は、大切な場所だと思うだろう。生活をする中ではもちろん、気持ちの面で大きな支えになると思う。帰れる家があるというのは、とっても安心感がある。私は、その安心感から心の余裕が生まれ、夢が生まれるのではないかと思う。そして、その夢について語れるのも、夢に向かって努力するのも、やはり家だろう。
 税金は、その国が団結したり、その国の人を助けるための大きな手段だと私は思う。ボランティアという、直接的な人助けもあると思う。だが、高齢化が進む日本では実際にボランティアをする人より、ボランティアを必要とする人の方が多いと考えられる。税金は、間接的なボランティアとも考える事ができるのではないだろうか。
 もちろん税金は、納めることが法律で義務づけられている。義務というと重荷に感じるが、一人一人が税金が使われている場所や目的をよく理解することで、重荷に感じないのではないかと思うようになった。
 私が大人になり、社会をになう一員として税金を納める立場になった時のため、これからも税に対する正しい知識をより多く得て、他の人を助けられる税金を納めていく。

国と地域を救う私たちの税

藪脇昂正(香川・小豆島町立小豆島中学校)

 「あの時は本当に死ぬかと思った。」自分は父から何十回もこの話を聞きました。今から四十四年前の一九七四年七月六日とその二年後の一九七六年九月十二日に、自分の住んでいる小豆島が記録的な大雨に見舞れ、複数の河川が氾濫したり、土砂災害が発生し、甚大な被害を受けました。父がもともと住んでいた家も床上浸水し、当時小学校三年生だった父のへそのあたりまで水が来たそうです。そして一夜明けて山を見てみると、あたかも爪でひっかいたかのように土砂崩れの跡が残っていたそうです。
 その後、小豆島には土砂崩れや洪水の被害を最小限にくい止めるための砂防ダムが建てられたり、多目的ダムが建築・改修されたりしました。さらに、それまでは小豆島は毎年必ず水不足に悩まされてきましたが、この多目的ダムが建てられたことにより、洪水を防ぐ治水だけでなく、川の水を上手く利用する利水もできるようになり、水不足も解消されました。これらは全て自然災害が起きた時に適用される激甚災害特別措置法に基づき、国費から出されたお金によって建てられました。国費は税金によって形成されているので、つまり税金によって島民の安心安全は守られたと言っても過言ではありません。税金がなかったら、恐らく復興が遅れ、自分たちはこの小豆島で今のような生活を送ることができなかったかもしれません。そう思うと、とても怖くなってしまいます。
 自分は最近のニュースでよく「復興特別税」という言葉を耳にします。これは東日本大震災の復興に必要な財源の確保をするためにあるみんなの思いやりがあふれる税です。これらは全て自衛隊の派遣や職を失って生活が苦しくなった人に払われる生活保護費の支援、福祉・医療サービス、道路や公共施設の修復など様々な場面において被災地のために使われました。
 自分は税金というものは自分たちがよりよい生活をしていくために必要不可欠なものだと思いました。小豆島の豪雨災害も、東日本大震災もみんなが協力して納めてくれた税金があったからこそ復興が進んできたのだと思います。自分に今できることは、消費税を払うくらいだけど、成人したら、特別復興税も含めた全ての税金をきちんと納めて、これからの日本に少しでも貢献していきたいと思います。そして、このことを子や孫の世代にも伝えていきたいと思います。

命を救う私たちの税金

北島藍(福岡・福岡市立和白丘中学校)

 もしも、税金がなかったら……。私はそう考えるだけで、怖くなります。
 それは、今年の三月。春休み中のことです。
「今から帰るね。」
そう父から母に電話があって十分も経たないうちに、もう一度父の携帯から電話がかかってきました。その時作業をしていたため、少しイライラしたような感じで電話に出た母の声は、急に一変しました。
「――分かりました。」
電話を静かに切った母は、私と弟に向かって「お父さんが事故にあった。救急車で病院に運ばれた。」
と言いました。私たちが慌てて病院へ向かうと、父は救急救命センターの処置室にいて、すぐに顔を見ることはできませんでした。その後、緊急手術をすることになり、手術室へ運ばれていく父の姿は忘れられません。
 手術が始まったのは夜中の十二時を回った頃でした。しばらくの間、私も弟も睡魔と戦いながら、待合室で待っていました。二時を回った頃、父の会社の人が事故の連絡を受け、私たちを迎えにきてくれて、私と弟は先に家に帰ることになりました。
 帰りの車の中で、その人は私に、
「お父さんは大丈夫だよ。警察の人から聞いたんだけど、お父さんが事故にあったとき、近くにいた人がすぐに救急車を呼んでくれたんだって。」
と言ってくれました。その時はあまり気にしていませんでしたが、父の容体がおちついた後、私は気になって救急車について調べてみました。すると、救急車は私たちが納めている税金で走っていることが分かりました。また、医療費の一部も、税金によって負担されることも分かりました。父の事故は相手がいて、父の過失割合は高くはないけれど、0ではありませんでした。いくら相手の方が負担が重いと言っても、こちらの負担も軽いとは言えません。そんな中、税金による一部の負担は、母にとって本当にありがたいものだったと思います。
 私の父は税金によって、命やその後の生活を助けられました。税金は他にも、私たちの教育費やより良いまちづくりのために使用されています。私たちが生活しやすい世の中を作っているのは、税金なのです。
 私たちの中には、税金を納めることをマイナスにとらえている人もいるかもしれません。私自身も、消費税が上がるという話を聞いて正直、嫌だなと思っていました。しかし、税金は私たちが生きていくうえで、必要不可欠なものです。税金は時には誰かの命を救います。もしかすると、自分の命を救ってくれる可能性だってあります。
 税金の使い道は、あまり知られていません。だから私は、税金が何に使われているのかを多くの人に知ってもらい、税金を納めることの大切さを理解してもらいたいです。

一人一人が生きていくために

小森香代子(熊本・天草市立本渡中学校)

 「税金を納めなければ私たち一人一人は、生きていけない。」
租税教室が終わったときに私が一番感じたことです。それまでの私は、税について考えたことが一度もなく、ただただ毎日の生活を送っていました。当たりまえに学校へ行き授業が受けられる。地域のごみは集めてくれる。川には橋が架かっており道路は整備され、住みやすい環境にかこまれている。これが、当たりまえの生活だと思っていました。しかし、これら全てに税金が使用されていることを知り、税金を納めてくださっている方々に感謝の意を持ちました。
 私が一番身近で、税金を納めているなと実感するのは、買い物をした時に納める消費税です。現代の日本社会の消費税率は八パーセントです。これらを納めることは、国民一人一人に義務づけられています。これまでの私は、何も考えることなく消費税を払っていましたが、租税教室で生活に役立てられているということを知ったときは、少しわくわく感がありました。なぜなら、私が納めた消費税は今ごろどこかで誰かの役に立っているのかなという気持ちがわき、自分自身が誰かの支えになっているんだと実感できたからです。
 しかし、私は税金で、誰かを支えているだけではありません。私も、多くの人の納める税によって支えられているんだなと思いました。もし税金を誰一人として納めなくなったならば、身近な当たりまえのことも、幸せに暮らせている安心感なども全てが失われてしまいます。私が生きていられること、家族や友達の周りのみんなが元気で笑っていられること、教育が受けられることなどの全てが誰かが納めた税金で支えられていることに私は、感動したし、ありがたく思いました。
 命って何ですかと聞かれると多くの人が、大切なもの。生きていられること。と答えるだろうと思います。その通りだなと思います。命と税金は深く関わりがあると私は考えます。
「税金は一人一人の命」
私はこの言葉を頭におき、これからも税金を自分のために、誰かのために納めていこうと思います。
 これまでの私の、身近で感じられる全てのことが当たりまえの思考から一転、租税教室で多くのことを学んだ私は、自分が生きられている感謝の思いや命を支えているうれしさの思いが強くなりました。税を身近に感じること。これが地域社会、日本社会を変える第一歩になると信じています。これからは、さらに税を大切に生活していこうと思います。

支える税

鎌田結乃(沖縄県・宜野湾市立嘉数中学校)

 「やったー!留学に行ける!」
英語が大好きな私は、短期留学への参加が決まった時、本当に嬉しくてたまりませんでした。そして今夏、約一か月間のアメリカでの生活を経験し、語学はもちろんのこと、日本とは異なる文化や考え方に触れ、大きく成長することができました。また、在米日本国大使館や国務省、ホワイトハウス等を訪問し、政治に関わる方々と面会したことで、視野も広がり、とても貴重な経験になりました。
 私が参加したこの留学プログラムは、私の住む宜野湾市が主催している、宜野湾市中学校短期海外留学派遣事業というものです。毎年、市内の中学生がアメリカへ派遣されていますが、昨年度まで、費用は約半額の自己負担がありました。しかし今年度からは、市が全額を負担し、無料で留学できるようになりました。その財源となったのが、ふるさと納税です。これは、インターネットでのガバメントクラウドファンディングを利用し、全国の方からこの事業への寄付金を募ったものです。インターネット上のサイトから、事業に賛同する人が寄付をすると、その額に応じて税金が控除されたり、お礼品が贈られるという仕組みになっています。
 また、そのサイトでは、事業への応援メッセージを紹介するページがあります。そこには、「世界に通用する日本人として成長してほしい」「皆さんの未来を応援します」「大きく羽ばたいて下さい」など、期待のつまったメッセージが数多く寄せられていました。私は、これらを読んだ時、ひとつひとつの言葉に心を打たれました。そして、全国のたくさんの方々が、顔も名前も知らない私たちのことをこんなにも応援して下さっているのだという事を知り、胸が熱くなりました。私は、ふるさと納税で寄付をして下さった方々のおかげで、ずっと憧れていた留学という夢が叶い、貴重な経験の中でたくさんのものを得ることができました。
 私はこれまで、「税はとられるもの」と、税に対してあまり良いイメージを持っていませんでした。しかし、このプログラムを通して、「税は誰かを支えて、誰かに支えられて、たくさんの人と繋がることのできる、なくてはならないもの」だと思うようになりました。これは、ふるさと納税だけでなく、すべての税に言えることだと思います。全員がきちんと税を納めることで、医療費の助成や教育費道路の整備など様々な事に税金が使われ、安心安全で快適な社会が実現されているのです。
 私はまだ、多くの税金を納めることはできません。ですが、たくさんの人に支えられているという事を忘れず、税の仕組みについてより深く学んでいく事は、今の私でもできる事だと思います。そしていずれは、きちんと税を納められる大人になりたいです。
 税金で誰かを支えるために……。