令和5年度税制改正に関する建議書の実現について

2022年12月19日お知らせ

【2023年2月9日追記】

日本税理士会連合会は、税理士法に定められた建議権に基づき、全国15税理士会とともに、国に対して「公平な税負担」「時代に適合する税制」「理解と納得のできる税制」「適正な事務負担」「透明な税務行政」の視点から、毎年、税制改正に関する建議書を提出しています。令和5年度税制改正大綱では、建議内容のうち主に以下の項目が実現しました。

・インボイス制度導入に関する経過措置
① インボイス発行事業者となる免税事業者の負担軽減
これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置を講ずることにより、納税額の激変緩和を図る。この措置により、簡易課税制度の適用を受ける場合に比べ、更に事務負担が軽減される。

【参考:政府大綱「適格請求書等保存方式に係る見直し」
【参考:与党大綱P19, 77-78】

② 事業者の事務負担軽減
インボイス制度の定着までの実務に配慮し、一定規模以下の事業者の行う少額の取引につき、帳簿のみで仕入税額控除を可能とする6年間の事務負担軽減策を講ずる。加えて、振込手数料相当額を値引きとして処理する場合等の事務負担を軽減する観点から、少額の返還インボイスについて交付義務を免除する。

【参考:政府大綱「適格請求書等保存方式に係る見直し」
【参考:与党大綱P19, 78】

・相続税と贈与税の一体課税
① 相続時精算課税制度の使い勝手向上
相続時精算課税制度は、平成15 年度に次世代への早期の資産移転と有効活用を通じた経済社会の活性化の観点から導入されたものである。選択後は生前贈与か相続かによって税負担は変わらず、資産移転の時期に中立的な仕組みとなっており、暦年課税との選択制は維持しつつ、同制度の使い勝手を向上させる。具体的には、申告等に係る事務負担を軽減する等の観点から、相続時精算課税においても、暦年課税と同水準の基礎控除を創設する。これにより、生前にまとまった財産を贈与しにくかった者にとっても、相続時精算課税を活用することで、次世代に資産を移転しやすい税制となる。

【参考:政府大綱「資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築」
【参考:与党大綱P16, 42】

② 相続時精算課税の下で受贈した土地・建物の取扱い
相続時精算課税の下で受贈した財産の価額は、相続税の課税価格の計算上、贈与時点の時価で固定されるが、土地・建物について、災害により一定以上の被害を受けた場合には、例外的に、相続税の課税価格を再計算することとする。

【参考:政府大綱「資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築」
【参考:与党大綱P13, 42】

・災害に係る損失への配慮
被害が極めて甚大で広範な地域の生活基盤が著しく損なわれ、被災前のように生活の糧を得るまでに時間を要するような災害の被災者や被災事業者に特に配慮する観点から、特定非常災害法上の特定非常災害による損失に係る雑損失及び純損失の繰越期間について、損失の程度や記帳水準に応じ、例外的に3年から5年に延長する措置を講ずる。

【参考:政府大綱「個人所得課税(その他)」
【参考:与党大綱P13, 36, 40-41】
【関連情報】
日税連ホームページ
会長コメント
財務省ホームページ
令和5年度税制改正の大綱
自由民主党ホームページ
令和5年度与党税制改正大綱