令和5年度与党税制改正大綱について(会長コメント)

2022年12月16日お知らせ

令和4年12月16日
日本税理士会連合会
会長 神津 信一

 このたび公表された令和5年度与党税制改正大綱において、本会の建議項目や意見が多く取り上げられました。これもひとえに、全国の税理士会員の真摯な思いと、日本税理士政治連盟及び各単位税理士政治連盟の活動が結実したのはもとより、平素より国民や納税者に寄り添い、その声を真摯に受け止め、関係各所に届けた成果だと受け止めております。会員各位のご支援ご協力に対し、改めてお礼申し上げます。また、本会の要望実現に向けてご尽力いただいた国会議員、関係行政機関等のみなさまに厚くお礼申し上げます。

 まず、インボイス制度に関しては、中小企業者の実務を踏まえた柔軟な運用を要望していたところ、これが受け入れられ、前々年、前々事業年度における課税売上高1億円以下の事業者が行う1万円未満の課税仕入れにつき、これまで通り、インボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入税額控除が可能とされました(6年間)。また、少額な(1万円未満)値引き等の返還インボイスの交付が不要とされました。この改正により、中小企業者の事務負担は大幅に軽減されることとなります。また、免税事業者が取引から排除されることのないよう、今後も引き続き、インボイス発行事業者以外からの課税仕入れ80%控除という経過措置について、当分の間維持することを関係各所に求めていきます。

 また、東日本大震災以降、長年要望し続けてきました災害損失について、特定災害により住宅・家財等に損失が生じた場合の雑損控除の繰越控除期間が3年間から5年間へと延長されることとなりました。

 さらに、相続税・贈与税の見直しに関し、相続時精算課税制度の適用後に行う贈与について毎年110万円まで贈与税は課税されず、相続財産にも加算されないこととなりました。このほか、相続時精算課税で受贈した土地・建物が災害により相続時までに滅失した場合等について、相続時に再計算することとされました。これらの改正は、本会の建議や本会税制審議会答申をベースとしており、今後、相続時精算課税制度の利用が大幅に増加することが予想されます。

 これら改正内容が盛り込まれた令和5年度税制改正法案は、令和5年1月に召集される次期通常国会に提出され、審議されることとなりますので、改正法案の成立を期待しております。

 税理士会は、税理士法において、税制に関して建議できると規定されています。税理士は、税務に関する専門家として、税制が納税者、とりわけ、中小事業者に与える影響を深く認識する立場にあり、税制に関する建議を行うことは、税理士会の権利であると同時に社会的使命であります。
 本会は、あるべき税制の確立と申告納税制度の維持・発展のため、引き続き積極的に意見を表明してまいります。

関連情報
自民党ホームページ
令和5年度税制改正大綱(R4.12.16)
日税連ホームページ
日税連からの提案-税制建議