令和8年度与党税制改正大綱について(会長コメント)
2025年12月20日お知らせ令和7年12月20日
日本税理士会連合会
会長 太田 直樹
このたび公表された令和8年度与党税制改正大綱において、本会の建議項目や意見が取り上げられました。これもひとえに、全国の税理士会員の真摯な思いと、日本税理士政治連盟及び各単位税理士政治連盟の活動が結実したのはもとより、平素より国民や納税者に寄り添い、その声を真摯に受け止め、関係各所に届けた成果だと受け止めております。会員各位のご支援ご協力に対し、改めてお礼申し上げます。また、本会の要望実現に向けてご尽力いただいた国会議員、関係行政機関等のみなさまに厚くお礼申し上げます。
今回の大綱は、①物価高への対応、②「強い経済」の実現に向けた対応、③地方の伸びしろの活用・暮らしの安定、④公平かつ円滑な納税のための環境整備等の点からとりまとめられており、本会の建議した項目がいくつか盛り込まれております。特に、昨今の物価上昇に伴う基礎控除等の引上げにあたっては、個人にとって選択の余地のない生活支出について、税負担能力がない支出という考え方が前提とされていること、また、源泉徴収義務者等の事務負担に配慮された方法であることなど一定の評価ができる内容となっております。
まず、インボイス制度の導入に伴い設けられた各種特例措置について期限延長等を要望していたところ、新たにインボイス発行事業者となった小規模事業者の税額控除に関する経過措置(いわゆる2割特例)については、個人事業者に限り納税額を売上税額の3割としたうえで、令和10年に含まれる課税期間まで延長されました。また、免税事業者等からの課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置(いわゆる8割控除)については、激変緩和を図る観点から、令和8年10月から7割、令和10年10月から5割、令和12年10月から3割としたうえで、最終的な適用期限が令和13年9月末までと当初適用期限から2年間延長されることとなりました。これら特例措置の延長は、インボイス制度への深い理解と、価格転嫁の円滑化にはまだ時間が必要であるという本会の建議内容をくみ取っていただいた成果と評価します。
このほか、少額減価償却資産等の取得価額基準の引上げなど、日本経済の基盤となる中小企業の後押しとなる改正内容が盛り込まれた令和8年度税制改正法案は、令和8年1月に召集される次期通常国会に提出され、審議されることとなります。
税理士会は、税理士法において、税制等に関して建議できると規定されています。税理士は、税務に関する専門家として、税制が納税者、とりわけ、中小事業者に与える影響を深く理解する立場にあり、税制に関する建議を行うことは、税理士会に与えられた重要な役割であります。
本会は、あるべき税制の確立と申告納税制度の維持・発展のため、引き続き積極的に意見を表明してまいります。
- 関連情報
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- 自民党ホームページ
- 令和8年度税制改正大綱(R7.12.19)
- 日税連ホームページ
- 日税連からの提案-税制建議
